韓国紙「ノーベル賞に失望するのは早い」「世界はむしろ短期間で水準上昇する韓国に注目」

今年もノーベル賞を逃した韓国だが、諸科学指標などから「韓国も良い地点に来ている」とする主張を韓国紙がしている。

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毎日経済新聞は15日、『ノーベル賞に失望するには早い…全世界1%の科学者が韓国に46名』という特集記事を掲載した。

同紙は、「政府が科学技術分野の基礎研究事業を始めてから30年に満たないという点で、失望するには余りにも早いのが専門家らの指摘だ」とし、「科学不毛の地だった韓国だがすでに世界のトップ1%の影響力を持った科学者が数十人ずつ出てきているからだ」と指摘した。

同紙は、ヒョン・テクファン基礎科学研究院(IBS)ナノ粒子研究団長(ソウル大化学生物工学部客員教授)のコメントを引用し、「日本は、すでに1900年代初めから基礎科学への投資を開始した」とし「私たちは、日本が蓄積してきた時間の半分にも来ていないだろう」と指摘。

画像:清州市にあるOASIS全景

しかし「それにもかかわらず、韓国は10年の間に著しい成果を成し遂げた」と同紙は指摘し、韓国科学技術企画評価院(KISTEP)が各国の研究資源や研究活動、ネットワーク、研究環境、成果などを基準に算定した科学技術の革新能力指数(COSTII)ランキングにおいて、昨年、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち世界8位を記録したと伝えた。

また、IBSの設立以来、宇宙粒子の測定のための地下実験研究所、世界最高出力の超強力レーザー、低温原子顕微鏡、スーパーコンピューティング施設などの先端科学機器が韓国に導入されており、「これまで韓国でできなかった基礎研究が可能になった」と伝えた。2028年に稼動を目標に忠清北道清州市梧倉で建設を進めている第4世代の円形放射光加速器「オアシス(OASIS)」は、世界最高の性能を誇ると強調した。

そして、「世界的な影響力を発揮している科学者も着実に増えている」とし、世界的な学術情報会社クラスリベイトアナリティックスが発表した「世界のトップ1%影響力を持つ科学者(HCR)」に選定された韓国の科学者が2014年の18人から2017年29人、2020年に46人に増えたことを伝えた。HCRに選定された全科学者は、世界60カ国の合計6167人(2020年基準)となっている。(※日本は91名=2020年)

クラスリベイトが予測した「ノーベル賞受賞有力候補」に上がった韓国人科学者も4人に上っており、様々な多孔性ナノ物質合成法を創案したユ・リョンKAIST化学名誉教授(2014年・化学)、ペロブスカイト太陽電池の研究を開拓したパク・ナムギュ成均館化学工学科教授(2017年・化学賞)、ナノ粒子の大量生産法を考案したヒョン・テクファンIBSナノ粒子の研究団長(2020年・化学賞)、「ハンタンウイルス」を最初に発見し、ワクチンや治療法まで開発したイ・ホワン高麗大学医学部名誉教授(2021年・生理医学賞)などの名が挙がっている。

毎日経済新聞は「世界はむしろ、このように短期間で世界レベルに成長した韓国に注目している」とし、ネイチャー紙昨年5月に韓国科学界の変化を特集したことなどを伝えた。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「ノーベル賞にこだわるのはやめよう」

「人材がいたとしてもその上にいる公務員たちがあの体たらくでは…」

「社会と科学/文明などが変化する初期にほとんどのアイデア/特許/発明などが集中される。旧韓(大韓帝国)末期の韓国が悪い政治と日本の植民地時代を送りながら…韓国は、その初期の機会を逃しただけだ。なので失望する必要はない…」

「韓国では百年、いや千年が過ぎてもノーベル賞受賞者が絶対出ない国だ。ノーベル賞受賞が全く出ない理由は、お金になる研究に没頭し基礎科学への関心と支援が不足しているのが全てだ…」

「ノーベル賞、ノーベル賞って…政治的に自慢できる成果よりも、有能な科学者を長期的に多く排出することができる環境を作ることに少し集中してあげるべきでは…米国や日本がノーベル賞を取るためにあれだけ頑張ったわけでもないだろうに…」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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