【秋華賞/穴馬アナライズ】前売り10番人気以下の伏兵 “買い”要素満載のオークス未出走組

前編」ではソダシのほかに潜むオークス惨敗馬の巻き返しの可能性について触れたが、ここではオークス未出走組、いわゆる「夏の上がり馬」から穴馬3頭を紹介する。

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■アナザーリリック

春にアネモネ賞を制し、桜花賞の有力馬の1頭に数えられていたアナザーリリック。しかし牝馬クラシック初戦には向かわず、駒を進めたのは牡馬混合のNHKマイルCだった。これが自身初の一線級との対戦、そして高速決着となったが、3着グレナディアガーズからコンマ3秒差の7着に善戦。キャリア3戦の粗削りな身であったことを踏まえれば、ポテンシャルの高さを示すとともに、秋の飛躍を期待させるには十分な内容だった。

3カ月の休養を挟み、復帰戦に選んだのは古馬3勝クラスの佐渡S。後方からレースを進めたアナザーリリックは、大外から鋭い脚で先団を飲み込み、2馬身半差で余裕の勝利を飾っている。馬体が絞れたことに加え、距離延長もよかったか。この走りが本番でもできれば、同世代なら勝ち負け争いに加われると見た。

また、前出のアネモネ賞は重馬場での開催だっただけに、馬場が渋っても問題ないクチ。ただ関西圏への遠征は初なので、当日の気配はチェックしておきたいところだ。

■サルファーコスモス

サルファーコスモスも激走の可能性を秘めている。骨折休養明けだった前走の納屋橋Sでは、2番手からレースを進めたものの、逃げたフォルコメンを交わしきれず2着に惜敗。敗れはしたが、大きなブランクがありながらも、いきなり古馬3勝クラスにメドを立てた内容は評価していいだろう。さらに道中は行きたがる面を見せていただけに、一度叩いたことでガス抜きができたのも前進を予感させる。

これまでマイル戦までしか経験がないが、シフトアップがうまいタイプではないので、徐々にギアを上げていける距離延長は歓迎。また血統的に見ても2000mまでは十分守備範囲だろう。全国リーディング2位の川田騎手をこの人気で買えるのもいい。

■ミスフィガロ

今年の出走メンバーの中で、一番の「夏の上がり馬」と言えばミスフィガロだろう。初勝利までに5戦を要し、5月の未勝利戦で待望の勝ち星をマークすると、次走8月の1勝クラスで連勝を飾った。敷居が高そうに見えた前走・トライアルの紫苑Sでは、後方から鋭く迫り、ファインルージュとスルーセブンシーズに次ぐ3着に好走。秋華賞の切符を掴んでいる。

一介の未勝利馬がわずか4カ月でGIの舞台に駒を進めたわけだが、飛躍の要因はこれまで小柄だった馬体がパワーアップしたことに尽きるだろう。初勝利から前走までの間に16キロも増えており、持て余していたエンジンの性能を使い切れるようになってきた。決め手は世代上位のものを持っているだけに、ハマれば前走の再現の可能性は十分。

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著者プロフィール

山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長
アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、穴馬予想を追求し続けている。

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