【宮永篤史の駄菓子屋探訪16】北海道上川郡当麻町「橋田玩具店」創業121年!お宝おもちゃがいっぱいの店

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道上川郡当麻町「橋田玩具店」です。

当麻町唯一の駄菓子屋

北海道第2の都市、旭川市の北西に隣接する上川郡当麻町。この町にある唯一の駄菓子屋、橋田玩具店を訪ねてきました。JR当麻駅のすぐそば、道道1122号線沿いの商店街の中にあり、近くには当麻小学校がある立地です。

店内はとても奥行きがあり、売り物が奥に向かってズラリと並んでいます。左右を仕切るように棚が組まれ、右側が駄菓子やトレーディングカード、左側が花火とおもちゃ売り場になっていました。節句で使われる提灯がたくさん吊り下げられているのも特徴的です。

お宝おもちゃが目白押し

奥のほうは、今やお宝と思われる年代物のおもちゃが並び、とにかく圧巻の物量。最奥にはテーブルやテレビが置かれ、子どもたちがゲームをしたり、トレーディングカードで遊べるスペースになっていました。

駄菓子売り場には、値段の表示がありません。なので、買い物に来たほとんどの人が「これはいくら?」と聞きます。自然とコミュニケーションが生まれ、会話もはずみ、お店は常ににぎやかな印象。「値段が書いてない個人商店、昔は当たり前にあったなあ。大人に値段聞くの、なぜか怖かったな」と、この邂逅で懐かしい気持ちになりました。

創業121年!

橋田玩具店の創業は、なんと明治33年(1900年)!日用品店として始まり、昭和29年(1954年)ごろにおもちゃと駄菓子を置いた、現在に近いかたちになったそうです。応対してくださったのは3代目の喜代治さん・しげみさんご夫妻、そして4代目となる息子の慧喜さん。お話は、喜代治さんに伺いました。

「値段が書いてないのは、まあ、めんどくさいからだよね(笑)。最近は丁寧なのが当たり前だけど、うちはずっとこれだから、誰も不便は感じてないんじゃないかな。だけど最近は値段を聞けない子が増えたなと思う。時代なのかな」

おもちゃが売れれば駄菓子が減り、売れなければ駄菓子が増える

「おもちゃがよく売れる時は駄菓子の扱いが減って、おもちゃが売れない時は駄菓子が自然と増えるんだよね。ヨネザワのビッグレーシング(※スロットカー)が出てくるまでは、駄菓子のほうが売り上げがあったと思う。おもちゃが売れる時代がやってきて、そのあとファミコンの時代が来た。そのころは駄菓子が少なかったよ。そして今これだけ駄菓子を扱ってるってことは、おもちゃが売れない時代ってこと!(笑)」

たくさんのアルバイトをしてお店を維持

売り上げが落ちたときは、農家の手伝い、新聞配達など、お店を維持するためにたくさんのアルバイトをしてきたとのこと。かなり苦労した時期もあったそうですが、「忙しいのが楽しいし、子どもたちの笑顔も見たいし。なにより、よく働く嫁さんをもらえたから続けてこられたよね(笑)。今は年金をもらってるからひと安心だよ」と、ユーモアを交えて語ってくれました。

喜代治さんがちょっとトボけると、しげみさんが都度しっかりと突っ込み、訂正。3代目のお2人が絶妙な掛け合いで楽しい空気感をつくり、4代目の慧喜さんはトレーディングカードゲームの大会を主催するなど、独自のカラーも交えて運営に携わっているとのこと。橋田玩具店は、歴史も未来もある、おもちゃと駄菓子のお店でした。

橋田玩具店

住所:北海道上川郡当麻町4条3-6-26

電話:0166-84-3155

営業時間:9:00〜19:30

定休日:元日のみ

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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