首都圏震度5強、「中規模地震のリスク」の警告 塀の傾斜、室外機の落下…もろい大都市

震度5強の地震の影響でJR線のダイヤは翌日まで乱れた=8日、横浜市戸塚区のJR戸塚駅

 首都圏で震度5強を観測した7日夜の地震は、発生が警戒されてきたマグニチュード(M)7級の「首都直下地震」ではなかった。地震の規模はM6級にとどまり、強い揺れの範囲も限られていたが、緊急地震速報が間に合わない地域があり、各地で被害や混乱が生じる大都市のもろさが浮かび上がった。今回のような「中規模地震」は発生頻度が高いだけに、「次」への備えを確認したい。

 「建物が倒壊したり、構造物が致命的な被害を受けたりすることは少なく、補修可能なケースが多い。しかし、実際に家屋が被災した場合に修理ができるだろうか」。3月半ば、横浜で開かれた震災対策技術展。セミナーに登壇した長岡技術科学大の池田隆明教授が問い掛けた。

 テーマは「中規模地震にどう備えるか?」。池田教授はこれまでの発生状況と被害の関係を整理し、「M4ぐらいの地震から負傷者が発生し、M4.5~6.0で一部損壊がかなり出てくる」と指摘。被害の具体的な傾向として(1)瓦屋根の落下(2)ブロック塀の傾斜(3)室外機の落下(4)家具の転倒(5)避難時の負傷─などを挙げ、「地震の直後は修理が追い付かず、ブルーシートなどでしのぐことになる。その後に台風や大雨が来たら、住民は大きな不安を抱く」と課題を挙げた。

 さらに「ライフラインが数日間停止し、社会生活に影響が及ぶ」とし、都市部特有の問題点としてエレベーターの閉じ込めなどを例示。こう強調した。「大規模地震と比べて発生頻度が高い。中規模地震を防災上の脅威として認識し、被害をどう防ぐかだ」

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