佐久間宣行×橋本和明、東京03の地上波初冠コント番組で強力タッグ! 東京03と“スタア”の共演は「自主的に練習して全国大会を狙う強豪校の部活みたい(笑)」

東京03の地上波初冠番組「東京03とスタア」が日本テレビで日曜日に放送中です。東京03の飯塚悟志さん、豊本明長さん、角田晃広さんが、千葉雄大さん、白石麻衣さんら“スタア”とコントで共演するもの。コントはオークラさん、かもめんたる・岩崎う大さんといった実力派作家によるオリジナル脚本で、東京03のお三方とスタアによる化学反応が楽しめます。

企画・演出では、テレビ東京系の「ゴッドタン」などの人気番組を担当している佐久間宣行さん、そして日本テレビで「有吉の壁」などを手掛ける橋本和明さんのタッグ結成も話題ですね。佐久間さんにとっては、フリー転身後、初の民放テレビ番組演出となります。

そんなお二人を直撃し、同番組の誕生秘話や東京03の魅力などをたっぷりと伺いました!

――まず、お二人のもともとの関係性について教えてください。

佐久間 「僕の記憶だと、橋本さんと最初に話したのは誰かの単独ライブの後だと思うんです。『ウレロ☆シリーズ』の時に、SKE48のシチュエーションコメディー(『SKE48のマジカル・ラジオ』)を橋本さんがやってらっしゃって、そこに角田さんが出ることになったので、『ウレロ』のキャラクターで出したいんですと相談があり、もちろんOKを出したんです」

橋本 「『ウレロ』の時に連絡したのは覚えていますけど、よく覚えていますね、その時の電話の内容まで(笑)」

佐久間 「その時に連絡先を交換したのが10年前とかですね。その時くらいからの知り合いではあったんです」

橋本 「僕は『ウレロ』が好きだったから、『テレ東で面白いことしているなあ。こんなお仕事を芸人さんとやれていいなあ』と思って見ていました」

――それ以降はどのようなつながりがありましたか?

佐久間 「頻繁には連絡は取っていないんですけど、僕も有吉(弘行)さんと番組(『有吉のバカだけど…ニュースはじめました』)をやっている時に特番で『有吉の壁』が始まって。それを見てすごく面白いなって思って。有吉さんの楽屋で盛り上がったのは覚えていますね」

橋本 「違うテレビ局だと、なかなか会う機会もないですよね。『ゴッドタン』はもちろん拝見しているし、制作だから番組が始まると誰がやるのかは見るので、『あ、佐久間さんまた今度やるんだ!』って。でも、なかなか会う機会はないですよね」

佐久間 「ないですね。僕は制作で関わりがあったのは、(テレビ朝日の)加地(倫三)さんくらいですよ。加地さんとは『ゴッドタン』と『アメトーーク!』で企画のやりとりが何回かあったので。それ以外に他局の方とはないです」

橋本 「それがたまたまこのタイミングで一緒にやることになったという、不思議な…。きっかけは、佐久間さんからメッセージをいただいて、『あちこちオードリー』で『有吉の壁』の話をするという内容で。そんなにお気遣いいただくほどひどい話をしているわけでもないんですけど…」

佐久間 「結構長い話になったんですよ。佐藤栞里さんとパンサーがゲストの回で、『有吉の壁』の話が20分くらい続いたので、さすがに一報入れておいた方がいいなと、久しぶりに橋本さんにご連絡したんです」

橋本 「久しぶりに佐久間さんからメッセージもらって、『佐久間さん、テレ東を退社されたんですよね?』みたいな雑談をしていて、そのうちに『せっかくなので、何かやりましょうか?』というのが、この番組を始めることになった経緯ですよね」

――お互いが手掛ける番組についてはどんな感想をお持ちですか?

佐久間 「コント師をバラエティーで着地させることがずっと難しいと思っていて…。『有吉の壁』で、コントの設定で大喜利するというのを見た時に、『はっ!』と思って。『これはすげえ番組が始まったな!』と思ったのが、一番鮮烈だったかなと思いますね」

橋本 「佐久間さんの番組を見ていて、その芸人さんとの信頼関係をどう築いているんだろうというのが、ずっと疑問だったんですよね。『ゴッドタン』とか『あちこちオードリー』を見ていても、芸人さんがその他の番組では言わないことを言うし、他の番組では見せない顔を見せる。それがどういうからくりなのか、『魔法使いみたいなことやっているのか?』って(笑)。最近では佐久間さんがラジオを含めて出役になっているので、そこがだんだん見えてきて、今回一緒にやっていてさらに見えてきたんです」

――一緒にお仕事をしてみて驚いたことや発見したことなどはありますか?

佐久間 「僕が感動したのは、橋本さんを中心とした日本テレビの一枚岩な感じというか、この企画に若手やいろんな人も参加してきてくれて。『お笑いをやりたい』というアツいスタッフがいて、そこで橋本さんが慕われているのが感動しましたね」

橋本 「僕は、東京03(以降03)と佐久間さんがどう関係性を築いてきたのかを間近で見ることができて勉強になっています。佐久間さん流のやり方を、何食わぬ顔していろいろ盗んでいますね(笑)。それを若い社員にも見せて。教育的な観点で若手が入っているところがこの番組にはあるので、すごくいい刺激になっているんじゃないかなと。ただのファンも混ざっていますけどね(笑)。メーキングをずっと撮っている竹内(遥香)ディレクターが…あれはもうただのファンですから(笑)」

佐久間 「はっはっはっはっは(笑)。竹内ディレクターは『有吉の壁』で有吉さんに演技を褒められたので、ついに03の前で演技を見てもらうという、もはやメーキングですらない謎の時間がありましたね(笑)」

橋本 「展覧会場でのロケで、有吉さんは“展覧会場の人としては”うまいと褒めたけど、彼女は『演技が褒められたので、私ちょっと出た方がいいんじゃないか』と、この番組でも自信満々に店員の演技をやっていましたね。こちらはどうしたものかと思いつつ(笑)。でも、そういう子たちがやれるのもすごくいいなと思います」

佐久間 「そう思いますよね。03はその子のことは覚えるだろうし、芸人が覚えていると『またその人と仕事したい』ってなるし」

――すべて撮り終えての感想や出来栄えについてお聞かせください。

佐久間 「4回撮ったんですけど、どれもすごくいいなと思います。日本テレビの美術さんとか技術さんのレベルが高くて、一つのコントとしてはセットがすごいんですよ。セットって大事で、そのおかげで笑えるんだけどグッとくるみたいなものも作れているし。あと、ゲストの方々が全員セリフをばっちり入れて、しかも自分のアレンジも入れてきてくれて。03のベースの上で遊ぶというのをやってくれているので、すごくいい番組だなって思いましたね」

橋本 「東京03と佐久間さんがやっているという、いい意味でのプレッシャーが掛かっているから、ゲストも考えてきてくれますね。美術も技術も気合が入っていて、意地もあったと思うんですよ。日本テレビに来てもらった佐久間さんにも『おっ!』って思ってもらおうって。だから、技術とかも管理職の人たちが来て、ベテランのオールスターメンバーで(笑)」

佐久間 「いやあ、みんなカメラうまかったなあ」

橋本 「メインを張っている人とか普段は管理職でシフトを作っている人とかが、肩回してきているからうまいし、カット割りを直すのは早いし。そういう意味でもいい刺激になっていますね」

佐久間 「あとは、やっぱり東京03ですよね。本読みをした後に独自で練習してきてくれるんです。だから、03が来た時点でコントのベースができていて。そしてカット割りを直している間に、勝手にゲストと練習してくれるんですよ」

橋本 「僕もビックリしました。送った本を、あんなに直してもらえて。『この語尾の方がいいんじゃないか』とか『このセリフのツッコミの方がいいんじゃないか』と直されたものを見ると、ちゃんと理由が分かるというか。しかも合間に勝手に稽古してくれるっていう(笑)」

佐久間 「全国大会狙う部活みたいだったもんなあ。部員が自主的に練習している感じだから」

橋本 「そうですよね(笑)。なかなかの強豪校ですよね。カメラリハーサルの後で本番を迎えると、もう一段階よくなっていて、『あのキャリアでそんなことあるんですか?』と思いますよ。そのおかげでゲストもピリッとしますよね。だから、かなりクオリティー高いと思います」

――若手芸人がネタを書く音声コント企画はどんな発想から生まれたのですか?

佐久間 「芸人の単独ライブに行くと、幕間にVTRで音声だけのコンテンツがあるんですけど、あれは爆発的にウケるんですよ。あと、YouTubeを見ている若い人たちにとっては、書き起こしの音声コンテンツは慣れているから、そのままテレビに出しても大丈夫なのではと思って。テロップの入れ方で笑わせるものって、実はテレビでやったことがないから、全編それでやるとなると難しいけど、短い尺で1コーナーやるのだったらありなんじゃないかなと。そう思ったのがきっかけですね」

橋本 「音だけというのは新鮮で楽しいですよね。コントって音だけでも可能性がすごくあるんじゃないかと思って。それぞれの芸人さんが、音であることを生かしたネタを書いてきてくれているので、それはそれで別の番組でもできそうなくらい面白いコンテンツなのかなと」

――Huluでの配信で見られるアフタートークやメーキングの見どころをお聞かせください。

佐久間 「竹内さんが撮っているメーキングが、普段のメーキングと比べてディレクターが気持ち悪いから(笑)、気持ち悪いディレクターにしか撮れない“ねばり”があると思うんですよ。それは見どころですね。ただのメーキング担当ディレクターが撮ったのではない、ガチファンが撮ったメーキングです」

橋本 「ファンが一番見たいものは分かっているはずですからね」

佐久間 「ゲストの素顔も見れますし、いいと思いますよ。千葉雄大さんとか白石麻衣さんとかが普段だったら見せないような一生懸命さも見れて、『こんなにコントを愛してくれているんだな』というものも出ているし、こぼれ落ちる素顔も面白いと思います」

橋本 「合間に練習しているのも入っていると思いますね。あとは、終わった後にみんながホッとした顔をしているなっていうのも面白いです。『やっぱりプレッシャーあったんだな』というのが見れて楽しいなと」

愛される東京03。今後も夢が膨らむ!

――この番組の一報出しの際に大きな反響がありましたが、周囲からどんな声が届きましたか?

佐久間 「おぎやはぎとか劇団ひとりとか、03がここに至るまでの苦労を見ていた人たちはみんな本当に喜んでいますよ。矢作さんなんて橋本さんにね?」

橋本 「そう、『有吉ゼミ』の収録時にトイレで一緒になって、『本当、ありがとうね!』って矢作さんに言われて。『東京03って本当にかわいくてしょうがないから、ああいうことを佐久間さんとやってもらって本当にありがとう!』って。何の目線からの感謝が分かんないんですけど(笑)。『本当に愛されているんだな』と思いますよね」

佐久間 「ハナコとかかが屋とか、若い子たちも喜んでいますよね。自分たちが面白いと思っている先輩のことなので」

――そんな東京03の魅力をあらためて教えてください。

佐久間 「ずっとコントをやってきた人たちだから、年々面白くなってきているなって。そういう意味では、今の“東京03の一番面白い状態”をこんな豪華な座組でやらせてもらえるのがすごくうれしいし、東京03って本当に真面目でお笑いに誠実だから、一緒に仕事した人がみんな好きになっちゃうんですよね。それが日テレのスタッフにも伝わったらいいなと思いますね」

橋本 「伝わっていると思いますよ。『またやりたい』と美術も技術も制作のスタッフもみんな思っているだろうし、携わった人たちが東京03のファンになって帰っていく番組という感じはするし。普段の03さんが書いているネタとは違う役回りを、3人が楽しんでやってくれるのがすごくうれしいし面白いんですよね。僕はこれを何度か続けるように頑張るのが使命だと思っているんです。でも、これがちゃんとストックコンテンツとして繰り返し見たいものだと思ってもらえるんだったら、またやれるのかなと思っています」

佐久間 「またやれたらいいなと思うのは、今回はオークラさんとかう大さんとか、#3は根本宗子さんが書いてくれているけど、もっと若い劇作家の方とか、スケジュールの関係で書けなかった脚本家の方もいらっしゃるから、いろんな人が書く03のコントを見てみたいと思いますね」

橋本 「『こんな人まで出たんだ!?』という時までやりたいですよね。『こんな俳優さんとか女優さんまで!?』というような」

佐久間 「本当にそうですよね。今回の全4回を見ると、出たくなる人が多いんじゃないかなと思います」

橋本 「ぜひ、いろんな方に出たいと言ってもらいたいし、それをすぐ嗅ぎ付けてキャスティングできたらなって」

――付き合いの長い佐久間さんから見て、日本テレビでの東京03はどのように映りましたか?

佐久間 「いい意味で変わらないです。あの人たちはどの現場でも面白いものを作ろうと思って変わらないから、それがすごいなと思いました。日本テレビさんでなくても、あの人たちはあのぐらい練習してきたと思うし、若手と絡む時も今回のようなとんでもないスタアとやる時と変わらず練習してくるし、それは頼もしかった。逆にそれが、日本テレビさんのスタッフには新鮮に見えるだろうなと思いました。『あのくらいのキャリアでこんな練習するのか』って」

橋本 「本人たちが書き直した本や練習を見て、うちのディレクターとかもビックリしたと思うんですよね。それってすごくいい刺激だと思って。やっぱり一流のものには見えない水面下ですごい努力があるから、それを全部見ているわけではないんだけど、ちょっとでも垣間見たら『ちゃんとディレクションしなきゃ』とか思うだろうし。それが本当にいい経験だと思いますね」

――今後また「東京03とスタア」をやる機会があるとしたら、どんなバリエーションのコントをやってみたいですか?

佐久間 「ミステリーとコントとか見てみたいなと思います。もし、『東京03とスタア』が夏にできたら、ホラーとコントとか見てみたいし。あとは、今回もじんわりするというのはあるんですけど、最終的にかなり泣けることも見てみたいし。書く人によって全然違うだろうなと思うので、見てみたいものはたくさんありますね」

橋本 「渾身(こんしん)の一笑いだけというか、ずっと我慢して一撃の笑いとか」

佐久間 「10分間ほぼドラマみたいな感じで、後半めちゃくちゃくだらなくなるとかも見てみたいし」

橋本 「すごい長回しもあるかもしれないですよね」

佐久間 「あの人たちだったらできるんですよ、長回しが。ワンカットもできるだろうしね」

橋本 「確かに。そう考えると、まだやれることはいっぱいありますね。たぶん、最初の4回だとまず形や方向をちゃんと作らなきゃいけないんですけど、シーズンで続いていくと、『こんなことをやってみたい!』ということもできるから、続けるとそこがいいんだろうなと思います」

佐久間 「『東京03とスタア』が続けられたら、『有吉の壁』に出ている中堅のコント師と03が絡んでいるのも見てみたいなと思うし、逆に、橋本さんの番組の中に、東京03のあのコントのクオリティーで参戦するのも見てみたいなと思いますね」

橋本 「劇団ひとりさんとかおぎやはぎさんとか、いつか来てくれたらうれしいだろうし。夢は膨らみますね。いろんな人に書いてもらいたいし、いろんな人に出てもらいたいし。あとは、佐久間さんが、劇作家もそうだし、新しい才能を見ているなあと思うので、そういう人たちがどんどん出られる場所になれたらいいですよね」

――ファンとしても楽しみです。ありがとうございました!

個人的にも楽しみな番組で、楽しい取材でした。第1弾となる今回は全4回の放送で、残すところ10月17日、24日のあと2回。今後もまた放送され、長い年月楽しめる番組になるといいですね! 光石研さんが出演する17日の放送も見逃せませんよ。劇作家・根元宗子さんの脚本、名バイプレイヤー・光石研×豊本さん扮(ふん)する豊美…お楽しみに!

【プロフィール】

佐久間宣行(さくま のぶゆき)
1975年11月23日生まれ。福島県出身。テレビ東京を経て、2021年よりフリーの演出家・プロデューサーに。現在は「ゴッドタン」「あちこちオードリー」(ともにテレビ東京系)を手掛けるほか、ラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)でパーソナリティーを務める。

橋本和明(はしもと かずあき)
1978年10月8日生まれ。大分県出身。日本テレビで企画・演出などを担当。バラエティーだけでなく、「でっけぇ風呂場で待ってます」などのドラマも手掛ける。現在の番組は「有吉ゼミ」「有吉の壁」「マツコ会議」など。

【番組情報】

「東京03とスタア」
日本テレビ
日曜 午後1:45~2:15
※放送後にHuluにて配信、Tverなどでの見逃し配信あり

取材・文/K・T(日本テレビ担当)

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