【怪奇覆面大集合】ザ・コンビクトなぜ囚人服で税関を通過できた?

来日早々、空港で大暴れしてマネジャーに制止されるザ・コンビクト

マスクマン史上、最もセンセーショナルな存在が“囚人”ことザ・コンビクトだろう。

214センチ、180キロの巨体で、1968年2月に突然、ロサンゼルス地区に横縞模様のマスクと囚人服で登場。ニューヨーク州のシンシン刑務所を脱獄したというあり得ない経歴で話題を呼んだ。

謎が謎を呼び、様々な憶測が日本でも流れ、満を持して70年の日本プロレス「第12回ワールドリーグ戦」(4月3日開幕)参戦のため4月1日に初来日。さすがに法治国家日本とあって、本紙の報道も抑え気味で「なぜ囚人姿で税関を無事通過できたのか」など肝心な部分はスルーしている。

スーツ姿の外国人選手に交じった囚人を「東京国際空港の会見で半狂乱で暴れだすやマネジャーのパンピロ・フィルポに手錠をかけられて鎮圧された」と報じ、開幕戦から全10回の連載「怪囚人男の謎」で徹底解剖を試みているのだが…。

「怪囚人男の正体で分かっているのはジョージア州メイコン出身ということのみ。そこで日プロの渉外担当にパスポートについて徹底的に質問した。本名はスタン・フレーザー。スペルをチェックすると黒人の名前に多いもの。となるとコンビクトの黒人説も浮上する」

「フレッド・ブラッシーがジョージア州を転戦中、メイコンのガソリンスタンドで雲を突くような大男と遭遇した。レスラー仲間でもこんなにデカい男はいない。『おい、若いの。身長はいくつだ』と聞くと『214センチだ』。さすがのブラッシーも『うーん』とうなるや『スタンドで働く男ではない。こいつはモノになる』とスカウトしたのである」

情報量が少なかったのか連載は一貫して行き詰まりの感が強く、適当感は否めない…。長身を生かしたネックハンギング(絞首刑)を得意としたがジャイアント馬場、アントニオ猪木、坂口征二のトップ3には歯が立たず、リーグ戦は5勝3敗1不戦勝に終わった。

結局、来日はこの1回限り。米国では素顔に戻ってからのほうが成功した。人気劇画「タイガーマスク」に登場したザ・コンビクトのほうが怖かったが、囚人のキャラとインパクトは天下一品だった。 (敬称略)

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