長崎県医師連盟、対応苦慮 医療系「ここから勝負」

長崎1区 冨岡氏から初村氏へ

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森崎会長のあいさつを聞く(左から)冨岡氏と初村氏=長崎市茂里町、県医師会館

 医師出身で自民党衆院議員だった冨岡勉氏(73)が引退し、支持母体の県医師連盟(委員長・森崎正幸県医師会長)が衆院選長崎1区での対応に苦慮している。後任候補となる新人、初村滝一郎氏(42)は業界に浸透しておらず、新型コロナウイルスの影響で活動も制約を受けた。公示が迫る中、看護など医療系政治団体が集まり「ここからが勝負」と奮起を誓った。
 衆院解散翌日の15日。初村氏の妻香保子さんは、日本医師会推薦の自見英子参院議員と一緒に長崎市内の病院にあいさつして回った。途中、森崎会長と共に合流した冨岡氏も、面会した院長らに「後継候補」として初村氏への支援を求めたという。香保子さんは「先生方が一生懸命回ってくださり大変心強い」と目尻を下げた。
 1区ではこれまで県医師連盟会員の多くが冨岡氏を「仲間」として支援。初村氏陣営も後援会長に医療関係者を据え関係構築を図ろうとした。だが、同連盟長崎市支部の松元定次委員長(市医師会長)は、まだ冨岡氏の後援会長職にあるという理由で固辞。冨岡氏も打診されたが、県連の公募・投票による後任候補選定時に長男を推した経緯から「初村さんに投票していない。さすがに(会長就任は)できない」と断った。
 初村氏のポスター掲示に応じない医療機関もあり、「冨岡の時よりも支援の熱量は落ちる」とみる向きも。冨岡氏も当初、自身のポスターを外すのにすら抵抗していた。
 同連盟によると、長崎市内の会員は約450人。「実際に選挙で動く人はもっと少ない」と森崎会長。その上「選挙に無関心な会員が増えている。まず投票に行ってくれなければ始まらない」と悩ましげな表情を浮かべる。
 さらに、初村氏陣営の動きを遮ったのが新型コロナ禍だった。公募で後任候補に選ばれた7月以降、感染者数が急増。最前線に立つ医療従事者は仕事に追われ、病院は感染対策のために対外との接触を制限。陣営関係者によると、特にコロナ患者を受け入れる大規模病院はほとんど回れなかった。
 それでも感染の第5波が下火になり、ようやく組織も動きを本格化。15日夜、県看護連盟など四つの医療系政治団体は合同で初村氏を「囲む会」を開き、約60人が集まった。登壇した冨岡氏は「素晴らしい青年に後を継いでいただける」と初村氏を持ち上げ、握手を交わした。帰り際の取材にはこう言い残した。「初村さんを応援してくれるように(医療関係者の)気持ちをほぐしてやるのが僕の仕事かな」