ドラフト直後の“評価”は当たったか? 5年が経過した2016年の指名を検証

ソフトバンク・田中正義、ロッテ・佐々木千隼、中日・柳裕也(左から)【写真:福谷佑介、荒川祐史】

2016年のドラフトで高評価を受けていたのはソフトバンクとロッテ

11日に都内で開催された2021年の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。支配下で77人、育成でもソフトバンクの史上最多14人を筆頭に51人が名前を呼ばれ、計128人が12球団から指名された。これからプロの世界で己を磨き、1軍でのプレーを夢見て、研鑽を励んでいくことになる。

とはいえ、ルーキーイヤーから活躍できる選手はごく一握り。特に高卒選手の場合は数年間、ファームでの育成期間を経て台頭してくることがほとんどで、ドラフトの成果が分かるのは5年後とも10年後とも言われる。では、5年前のドラフトの成果がどう出ているのか。ドラフト直後の“採点”が当たったのか、検証してみよう。

2016年のドラフトで注目を集めたのが田中正義(創価大)、柳裕也(明大)、佐々木千隼(桜美林大)といった大卒投手たち。田中には最多の5球団が、柳にも2球団が競合し、外れ1位でも5球団が佐々木千に競合する珍しいドラフトとなった。

この年、総じて評価が高かったのがソフトバンク、ロッテの2球団。ソフトバンクは田中を引き当て、2位以下では古谷優人、九鬼隆平、三森大貴と高校生3人をチームに加えた。ただ、ソフトバンクの場合、田中がなかなか結果が出ず、古谷や三森も今季ようやく頭角を表してきたところ。5年経った今季の段階では、評価通りの成果が出ているとは言い難いだろう。

阪神・大山悠輔(左)と糸原健斗【写真:荒川祐史】

評価の低かった阪神は大山と糸原が主力となり覆す結果に

ロッテは外れ1位で佐々木千を指名。2位以下では酒居知史や土肥星也、有吉優樹、種市篤暉などが指名されている。佐々木千は今季中継ぎとして欠かせぬ存在に。種市は2019年に8勝をマークしたものの、その後は怪我で戦線を離脱中。酒居は楽天、有吉はDeNAにトレードに。酒居は移籍後に中継ぎとして活躍しているものの、指名したロッテでは目を見張るほどの結果になっていない。

逆にこの年、評価が低かったのが阪神だ。阪神は白鴎大の大山悠輔を一本釣りで指名。5巡目では糸原健斗をチームに加えている。ドラフト直後は大山の1位入札、単独指名に懐疑的な声が多かったが、蓋を開けてみれば、チームの主砲に成長した。他球団のドラフト1位選手と比較しても、トップクラスの成績を残しており、下馬評を覆す“当たり”だったと言えるだろう。

オリックスは4位で山本由伸が加入し、今では球界を代表するエースに。1位の山岡泰輔、6位の山崎颯一郎らも1軍の戦力になっており、今季優勝へと突き進むチームの中心が加入したという意味で大きな意味を持つ。西武は3位で源田壮亮、5位で平井克典とチームの核が加入。1位の今井達也がやや伸び悩んでおり、今後の覚醒に期待したいところか。

このほか、中日は2位で京田陽太が加入。巨人は1位の吉川尚輝、DeNAは1位で浜口遥大、9位で佐野恵太が入団し、チームの中心となっている。5年が経過した2016年ドラフト。こう振り返ってみると、ドラフト直後の“評価”が必ずしも成果を反映しているものではないと言えるだろう。(Full-Count編集部)

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