初の外間守善賞、齋木喜美子さん「沖縄児童文学の水脈」受賞 「先生の言葉支えに」

 沖縄に関する人文科学や社会科学の分野で優れた著書に贈られる第1回外間守善賞(沖縄文化協会主催)の授賞式が16日、浦添市勢理客の産業振興センター結の街であった。関西学院大学教授の齋木喜美子さん(60)の「沖縄児童文学の水脈」が受賞した。特別賞には県立芸術大学名誉教授の加治工真市さん(83)の「鳩間方言辞典」が選ばれた。

 齋木さんは、沖縄児童文学研究を地道に開拓してきた。選考理由は「沖縄の児童文学の作家・作者と作品を通時的に配列し、追究した。沖縄児童文学が決して『不毛』『空白』の領域ではなかったことを明らかにした」などと評価された。

 沖縄文化協会の波照間永吉会長から賞状や賞金10万円の目録などを受け取った齋木さんは「大変感無量だ。(外間)先生の『あなたは将来立派な研究者になる』という言葉を支えにやってきた」と喜びを語った。齋木さんは本紙の琉球新報児童文学賞の選考委員も務めている。

 特別賞の加治工さんは体調不良のため欠席し、娘の加治工陽子さん(51)が代理で受け取った。「鳩間方言辞典」は選考で「正確さ・緻密さを期す過程も含めて、鳩間方言のありのままの姿が反映されている」と評された。外間守善賞は2018年に沖縄文化協会の創立70年を記念し設立された。

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