必見“香港映画”6選 キレキレの王道アクションを堪能!

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「いわゆる香港映画といえば、アクションあり、ギャグあり、時々ドラマあり。字幕がなくても楽しめるようなエンターテインメント作品の宝庫です」(映画評論家・くれい響さん)

ところが、’14年の香港民主化要求デモ以降、たとえば黒社会ものなど“香港らしい”映画が生まれにくくなっているという。

「そんな中、王道の香港アクションでヒットを飛ばしているのが、ドニー・イェン主演映画。中国での人気も絶大です」(くれいさん)

また、これまで男同士の絆など男性社会を描くことが多かった香港映画に、最近はこんな変化が。

「徐々に若手や女性監督も出てくるようになり、女性の生き方を丁寧に描いた作品も増えています」(ライター・結城らんなさん)

香港映画の新潮流1:女性の生き方と向き合う

さまざまな年代、立場の女性の心情を丁寧に掬い取る。いずれも女性監督作。

『花椒(ホアジャオ)の味』(2019年)

父の死をきっかけに、香港、台北、重慶それぞれの地で暮らす姉妹がいると知った3人は、葬儀で初めて顔を合わせる。父が経営していた人気の火鍋店を継ごうと決意する長女。次第に、三姉妹でその味の再現を試みる。「姉妹は三者三様の問題を抱えていますが、芽生えた絆により克服もする。香港、台湾、中国が互いに助け合えるかというメタファーのようにも受け取れます」(結城さん)
©2019 Dadi Century (Tianjin) Co., Ltd. Beijing Lajin Film Co., Ltd. Emperor Film Production Company Limited Shanghai Yeah! Media Co., Ltd. All Rights Reserved. 11月5日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開 配給:武蔵野エンタテインメント

『29歳問題』(2017年)

監督・脚本は、舞台演出家であり劇作家、俳優でもあるキーレン・パン。30歳を目前にした対照的な女性二人の物語。ひょんなことから見ず知らずの女性の留守中の部屋を借りることになったヨックワンは、部屋で見つけた日記を読み、同い年の家主の気ままな日常に惹かれ…。「’90年代の香港カルチャーが詰まっている。普遍性と懐古趣味を織り交ぜつつ、類を見ない新鮮さ」(結城さん)
©2017 China 3D Digital Entertainment Limited All Rights Reserved. Blu‐ray&DVD発売中 発売元:ポリゴンマジック 販売元:ハピネット デジタル配信中

『レイジー・ヘイジー・クレイジー』(2015年)

10代の女の子たちの、友情や恋愛など繊細な心模様を切り取った青春ムービー。子どもの頃から親友同士だったトレイシーとクロエだが、途中からアリスが加わり、3人組に。しかし、クロエとアリスは援助交際で仲間意識を強めるようになり、嫉妬したトレイシーがとった行動とは。「女性がこの映画を観ると、たとえ共感はしなくても、納得してしまう描写が数々あるはず」(結城さん)
©Sun Entertainment Culture Limited U‐NEXTにて見放題配信中

香港映画の新潮流2:ドニー・イェンで王道香港アクションを堪能!

複雑な情勢が影響している香港映画界で、不動の人気のドニーはやはり宇宙最強!

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』(2020年)

長年、ドニーとアクション監督としてタッグを組んできた谷垣健治が、ドニーの指名を受けて初メガホンをとった痛快アクションコメディ。ぽっちゃり特殊メイクで熱血刑事に扮したドニーが、キレキレのアクションで東京の街を暴れまくる! 「ど派手なアクションあり、コメディありという香港では恒例のお正月映画を、日本人の谷垣さんが撮ったところがエモい」(くれいさん)
©2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED. Blu‐ray&DVD発売中 発売・販売元:ツイン デジタル配信中

『イップ・マン 完結』(2019年)

10年にもわたる『イップ・マン』シリーズの最終章。教え子のブルース・リーとのアメリカでの再会、現地にはびこるレイシズム、アメリカ海兵隊一等軍曹とのラストバトル…。超絶強いのに争いを好まない心優しきイップ・マンと、その美しい詠春拳が見納めに。「カンフー映画というより、ドラマを重視したのがヒットの理由。ドニーはこのシリーズで、演技派俳優としても開眼」(くれいさん)
©2019 Mandarin Motion Pictures Limited All Rights Reserved. Blu‐ray&DVD発売中 発売・販売元:ギャガ デジタル配信中

『Raging Fire(英題)』(2021年)

ドニー・イェンの最新作で、ニコラス・ツェーとのW主演。今夏、中国で公開されて、興行収入200億円突破という大ヒット! 正義感溢れる警察官チョン(ドニー)と、警察組織への復讐を誓った復讐鬼ンゴウ(ニコラス)が死闘を繰り広げる。「『イップ・マン』もそうですが、香港映画がここまで中国で成功するなんてすごい。スタントコーディネートは谷垣さん」(くれいさん)
配給:ギャガ 12月、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

くれい響さん 映画評論家、ライター。映画誌、情報誌などさまざまな媒体での執筆や、『少年の君』『唐人街探偵 東京MISSION』といったアジア映画のパンフへの寄稿も多数。

結城らんなさん ライター。アジア映画や俳優に関するツイート(@ran_na)で独自の視点を発揮し、『映画秘宝』では、香港映画を中心に執筆している。

※『anan』2021年10月20日号より。取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)