「2021年の代表曲なし」紅白は歌手どころか東京五輪メダリストのキャスティングも難航

日本女子ボクシング史上初の金メダリスト・入江聖奈も有力候補だが…(東スポWeb)

10月も半ばを過ぎ、大みそか恒例「NHK紅白歌合戦」まで1か月半となった。そんな中、歴代最長となる連続出場50回を記録していた演歌歌手の五木ひろし(73)が17日、新歌舞伎座(大阪市)の公演で紅白に出場しない意向を明らかにした。例年、目玉がないと言われながら面目を保ってきたNHKだが、今年はどうなのか? 取材を進めてみると「今年を代表する曲」の欠如、東京五輪メダリストたちのキャスティングをめぐる迷走という姿が浮かび上がってきた。

例年、この時期になると「NHK紅白歌合戦」の出場内定者や出演交渉中アーティストの情報が飛び交い出すが、まずは五木が不出場の意向を発表した。

2021年を振り返ればNHKが取材に総力を挙げた自国開催の東京五輪というビッグイベントがあっただけに、番組構成も出演者のキャスティングもとんとん拍子かと思いきや…。

「NHKは苦労してるようです。というのも毎年出演するだけで多くのファンを引き付けた〝目玉〟の『嵐』が昨年末の活動休止で出ないばかりか、今年の音楽界に1年を代表するような曲が生まれていないのも大きい。また、これまでレアな大物アーティストを引っ張り出すサプライズもよくやったが、もうそうは残っていない。40~50代に人気の超大物ロックバンドXに声をかけているという話があるが、出演が実現するかは微妙なところです」(音楽関係者)

今年は1年を代表するような曲が生まれていないというのは、多くの音楽関係者が口にするところだ。例えば昨年はネットで人気に火がつきバラエティー番組でパロディーも作られた瑛人の「香水」、19年はアニメ「鬼滅の刃」で一躍時の人となったLiSAの「紅蓮華」など、毎年話題を集める代表曲があった。

今年はAdоの「うっせぇわ」が話題になったが、前出の音楽関係者は「Adоの『うっせぇわ』がバズったのは昨年末から今年初めにかけて。顔出ししていないだけに、紅白に出演するかは五分五分」と明かす。

一方で番組を彩るゲストのキャスティングもひと筋縄ではいっていないようだ。今年は自国開催の東京五輪があっただけに、東京五輪関連の特別企画を計画中。しかし、肝心のアスリートのキャスティングが難航しているという。

「現在、アスリートのゲスト審査員確実と言われているのが、今季、米メジャーリーグで二刀流としてMVP級の活躍をした大谷翔平のみ。五輪アスリートに関しては、なかなかキャスティングが決まってないようです。というのも今年は自国開催の五輪とあって、民放各局も紅白の裏で特番に五輪アスリートを多数起用する。競技団体によってはNHKより関係が深い民放局があるなど、さまざまな思惑が絡んで出演交渉が遅れているようだ」(フリーのテレビプロデューサー)

東京五輪アスリートの出演については、兄弟で金メダルを同日獲得した柔道の阿部きょうだい、日本女子ボクシング史上初の金メダリスト・入江聖奈のほか、21年度前期の朝ドラ「おかえりモネ」にちなんで女子ゴルフで銀メダルを獲得した稲見萌寧(いなみ・もね)など数多くの有力候補たちが控えるが、いまだ決まっていない。

また、五輪アスリートの出演をめぐっては、メダルを首からさげて出演する場合は、東京五輪選手団の公式ジャージー着用を義務づけられるなど、さまざまな条件も課されるようだ。

NHKとすれば、アッと驚くサプライズで紅白をアピールしたいところだろうが…。果たして目玉を用意することはできるか。

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