【台風19号上陸2年】マンションの「防災力」、ハード・ソフトの両面から評価 神奈川初、横浜市が認定制度導入へ

横浜市庁舎

 横浜市が神奈川県内初の導入を目指す「防災力向上マンション」の認定制度が来年1月にスタートする。2019年10月の台風19号(東日本台風)で新たな課題となったマンション地下への浸水対策や備蓄を促し、近隣住民の受け入れも含めた一時避難場所などとしての機能強化を狙う。新築に限らず、既存のマンションや賃貸物件も対象とし、容積率緩和などの誘導策を組み合わせる方向で制度の詳細を詰めている。

 市住宅政策課によると、検討中の制度案では、ハードとソフトの両面に認定基準を設定。各物件の取得意向に応じて、ハード、ソフトのどちらかか、両面について認定を受けられるようにする。

 ハードの認定は、(1)1981年以降の新耐震基準に相当する耐震性能(2)想定される浸水深に応じた電気設備の上階への設置や止水板の確保(3)防災倉庫の整備(4)発電機や救助用資機材の備蓄─などの対策の全てに取り組むことが条件だ。

 ソフトでは、自主防災組織や安否確認の態勢づくり、防災マニュアルの整備、防災訓練の実施、飲料水や非常用トイレの備蓄といった基準をクリアする必要がある。

 こうしたマンション住民向けの安全確保策に加え、周辺地域の被害軽減に貢献する手だてを講じると、プラス評価を行う方向だ。ハード認定のマンションでは近隣住民の避難スペースの確保や雨水の貯留、地域共用型の防災倉庫の整備などのうち、どれか一つを実施することが要件。ソフト認定の物件は地元自治会との連携訓練や情報共有、地域行事への参加などから選択する。

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