シャッターに絵画、秦野の街に笑顔を 79歳絵師の挑戦を市民有志が後押し

有志で集まった人たちに塗り方を指導する門脇さん(奥)=秦野市本町2丁目

 秦野市内の飲食店や商店のシャッターに鮮やかな絵画を描く79歳の絵師を応援しようと、市民有志が10月からクラウドファンディング(CF)を始めた。いつもと違う街の風景でみんなを笑顔にしたい─。そんな思いに共感した人たちからの寄付は制作費などに充てられる。

 「シャッタープロジェクト・はだの」と名付けられた取り組みは、「閉まっているのに開いている」がコンセプトで、営業終了後にシャッターが下ろされても、店が開いている時のように見え、夜でも街に彩りを添えたい狙いがある。当初はビルの壁面に描くことを考えたというが、費用面などから断念。まずはシャッターアートに取り組むことになった。

 9月中旬の午後8時過ぎ。人通りも少なくなった同市本町2丁目の美容室のシャッター前には、市内でスケッチ画を教えている絵師の門脇信夫さん(79)と、制作の手伝いを申し出た人たちが作業を進めていた。

 「シャッターの凹凸は、真正面からだとゆがんで見える可能性もあって難しい」と門脇さん。汗を拭いながらも筆の進め方に迷いはなく、大胆に下絵に色を付けていった。完成すると、店が開いている姿をそのまま絵になるという。美容室オーナーの杉本甲児さんは「とても満足がいく作品になりそう。これが増えて街がにぎやかになっていけばうれしい」と話す。

 今回のCFでは制作に必要な絵の具や備品などの購入費に充てられる。絵を描く店舗は既に数店舗決まっているといい、有志の小沢智子さんは「秦野のシャッターが面白いとなれば、見に来る人がいて、地域活性化にもつながる。CFを通してみんなと共に街を盛り上げる仕組みをつくっていきたい」と話している。

 CFは11月14日まで行っている。詳しくは、CFサイト「CAMPFIRE」の「【シャッター×アート】で街を盛り上げたい!79歳絵師の挑戦!」まで。

© 株式会社神奈川新聞社