〝サバイバルキャンプ〟で災害時、生きる力を身につけて 入念な準備に試行錯誤の大学生 12月開催

サバイバルキャンプを企画した野田さん(右)と小柳さん=国立諫早青少年自然の家

 台風や豪雨、地震など、近年多発する自然災害。ある日突然、電気やガス、水道などのライフラインが長期間絶たれたら-。万が一の際の生きる力を身につけてもらおうと、あえて過酷な状況を想定したサバイバルイベントを企画している大学生2人が長崎市と諫早市にいる。共に長崎純心大こども教育保育学科3年の小柳響生さん(23)と、野田尚子さん(21)。
 題して「48時間生き抜くサバイバルキャンプ」。舞台は大村湾に浮かぶ無人島、田島。参加者は必要最低限の装備だけを持ち、生き残るための野営に挑む。テントではなく1枚の天幕だけで風雨をしのぎ、体温を守るために乾電池などの身近な物を駆使して火をおこす。イベント開催の目的は、困難な状況を経験することで防災意識の向上を図ること。「全てを行政支援に頼るのではなく、災害時を自分の力で生き抜くため、何が必要かを考える機会にしてほしい」。防災に興味がない人も積極的に参加してほしいと呼びかける。
 共に幼いころから登山や沢登りなどのアウトドア体験に親しむ。共通の夢は子どもに関わる仕事に携わること。子どもたちとの自然体験や触れ合いを将来に役立てたいと、学内サークル「自然体験ボランティア」に入部し、諫早市白木峰町の国立青少年自然の家で積極的にボランティア活動に取り組んでいる。
 無人島を舞台にさまざまな体験を提案している先輩ボランティアや、経験豊富な自然の家職員との出会いをきっかけに、先述の企画を発案。自分たちが想定した装備で無事に生還できるかどうか、試しにブルーシートでシェルターを作り、自然の家のキャンプ村で1泊してみた。しかし強まる雨風に心が折れ、真夏だったにも関わらずその日は寝るのを諦めた。コロナ禍の影響で企画は12月に延期。真冬の無人島で、参加者の命を守るためにどんな道具や知識が必要か。ブルーシートから扱いやすいタープに変更し、銀マットに毛布と寝袋を追加するなど、入念な準備に試行錯誤する日々が続く。準備に奔走するうちに、これまで漠然としていた人生の目標も「児童館のような施設でクラフト制作に携わり、子どもの生きる力を育てたい」「自然豊かな幼稚園で、幼少期の自分と同じように泥だらけになって共に遊びながら子どもたちの成長を見守りたい」など、具体的に見えてきたという。
 「一見、楽しそうなイメージのある無人島キャンプを入り口に、防災について考え、“楽しかった”ではなく、“参加して良かった”“糧になった”と言ってもらえれば」
 同イベントは高校、大学生が対象。参加者の中から新たなボランティアスタッフを育て、小中学生を対象にした同イベントの開催も計画している。12月3~5日開催で、参加希望者は11月7日までに国立諫早青少年自然の家ホームページの入力フォームから申し込む。詳しくは、同自然の家(電0957.25.9111)。

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