韓国紙「米国は日本の破廉恥な後ろ盾に...植民地時代を連想」「国際法は帝国主義の産物」

韓国紙が日本の戦争責任と日韓関係、そして南北統一を含めた東アジア情勢の解決法について論じている。米国は韓国ではなく日本の後ろ盾になっているとの見方や、米国において南北朝鮮を一つとみて中国に対抗させるべしとする見方を伝えるなどしている。

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プレシアン紙は、『日本の犯罪的行為は日本の歴史の本質』というタイトルのものと、8月に行われた専門家らの座談会内容を掲載した。座談会にはク・デヨル梨花女子大、ハン・スンドン前記者、イ・ブヨル東アジア平和会議運営委員長が参加した。

同紙は、米中葛藤と日韓関係の悪化、南北関係の停滞などにようやくされる朝鮮半島の現状が、日本植民地時代や冷戦期の情勢を連想させると警鐘を鳴らし、韓国の進むべき道を問うている。

ハン・スンドン前記者は、「東アジアの問題の根源は、日本の右派」にあるとし、安倍元首相に代表されるこれら勢力が戦争犯罪を謝罪し、強制徴用や日本軍慰安婦問題について「日本がまず先に解決策を出さなければならない」と強く主張した。それと共に、米国が「道徳的に破廉恥な《後ろ盾》となっており、現政府(文政権)はより強く、日本とアメリカに対応すべきだ」と主張した。

ハン前記者は、2015年の慰安婦合意や2019年の日本の対韓国輸出規制(輸出管理強化)、韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)破棄議論などにおいて、「米国は日本の側につき、韓国の自尊心や価値とは無関係に現状維持を韓国に強いた」とし、「今の韓国の地位は日本植民地時代の時とは明らかに異なるが、米国と日本、韓国の関係は程度の差があるだけで、本質的にはこれまでと同じではないか」と問うている。

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ハン前記者は、日本が徴用工判決に対し「国際法違反」であるとするが、これを「国際法いかさま」であると批判し、「国際法は帝国主義が植民地戦争をしていた時に、それぞれの領域を定め、互いに衝突することなく、効率的に支配するために合意した規律だ」として、「日本は依然としてそのような視点にある」と述べている。

ク・デヨル教授は「犯罪的行為は日本の歴史の本質であり、植民地支配の過ちを認めた場合、日本は自身のアイデンティティを否定する形になる」とし、「韓日関係を悪化させた文政権の責任も看過できない」と指摘した。 「植民地支配の問題は、私たちが今後100年かけて提起することができる問題」であるだけに、当面の状況だけにとらわれず、出口を見定めて動かなければならいとする。

ク教授は、昭和天皇が韓国に正式に謝罪をしていれば日韓関係は劇的に変化していたとしつつ、その課題を次の世代に残したことを「残念だ」とし、「日本はドイツのような偉大なる歩み(great gesture)をすることが出来なかった」と評価した。

ク教授は一方で、ヴィンセント・ブルックスは元韓米連合司令官が7月に米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」寄稿した文章を通じて、北朝鮮を韓米同盟が主導する秩序に引き込もうという提案をしていることを挙げ、米国の東アジア政策に変更の可能性があることを伝えた。

イ・ブヨン委員長は「反中軍事同盟に北朝鮮を引き込むのは拒まなければならない」としつつ、「南北分断を固定的で不変なものと見ていた米国の考えが変化するだろう」と解釈した。

イ委員長は、旧共産圏である中朝露3か国が全て核保有国で反米政策をとっているが、「米国は耐えがたい状況」になったとし、「何とか北朝鮮を中国とロシアと結ばれた敵対国から分離してなければならない羽目になった」と説明した。

ク教授は、韓国が対中政策で台湾側に立つことを明確にすれば、バイデン政権が南北関係改善(統一)を保障する「何らかの言質」を米韓首脳会談時に与えたとみており、現在は南北間が和解ムードを静かに醸成しているようにみえることに期待を持ちつつ、文政権がそれを十分に進めるだけの力とアイデアがあるかについては疑問を呈した。

この対談をみた韓国のネットユーザーからは、

「とにかく中国と何とかしてくれ」「興味深く聞いたが…総合すると他者の思惑のみで語っているように聞こえる…自らが体質を変える努力と光を当てられる国になれば、あれこれ計算しなくても自ずと整理されるはず」「共産主義者よりもまず日帝の清算が先だ」「西からタリバンや少数民族が決起して中国を牽制してくれ」「韓国の地位向上もそのダメだという帝国主義秩序に便乗して得たものだが…」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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