『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』『百花』の川村元気が贈る2年半ぶりの長編小説『神曲』発売決定!

全世界累計200万部を突破したベストセラー『世界から猫が消えたなら』を2012年に刊行して以来、 『億男』『四月になれば彼女は』『百花』など話題作を次々に発表し続けてきた川村元気。 そんな川村が作家としての新境地に挑んだ2年半ぶりの小説『神曲』を11月18日、 新潮社より刊行。 小鳥店を営む檀野家の穏やかな日常は、 ある日突然終わりを告げる。 小学生の息子が通り魔に殺されるという凄惨な事件によって――。 「息子さんのために、 歌わせてください」。 悲しみに暮れる檀野家に、 不思議な聖歌隊がやってくる。 訝しむ父をよそに、 母と娘は、 歌うことによって次第に心を取り戻していくが……。 次々と明かされる家族3人の秘密。 ラスト20ページの戦慄。 そして、 驚くべきフィナーレ。 震えるほどの感動が待つ、 著者渾身の飛躍作。 作家の白石一文は本作について「センスだけでは描けない世界に挑んだ作者の覚悟に驚かされる」とコメント。 作家・中島京子も帯にコメントを寄せるほか、 本のプロである全国の書店員からも、 早くも多くの驚嘆と感動の声が届いている。 ・きっと誰もが、 信じられる何かを欲している。 今、 私たちに必要な小説がここにある。 (郁文堂書店庭瀬店・藤原郁子) ・愛する家族の心を何よりも優先した人たちの物語に、 思わず涙した。 果たして自分はこのようなことができるだろうかと、 深く考えさせられた。 (みどり書房白河店・矢野隆子) ・信じれば自分が傷ついてしまうかもしれない。 そう思って世界を閉ざしてしまう場面は少なくないでしょう。 一歩進むことに迷ったときに読む本だと思いました。 (宮脇書店越谷店・加藤克宜) ・大切な家族を失った時に何を心の支えとするのか。 信じることについて深く考えさせられる内容でした。 ラストシーンの急展開には思わず鳥肌が立ちました!(本のがんこ堂石山駅前店・西澤穂香) ・形のないものを信じるという行為は、 神や仏だけとは限らない。 心の中が見えなくても、 人は互いを信頼したり愛したりするのだから。 そんなことに改めて気づかされた。 この小説を読み終えた後の感動は本物。 こういう気持ちを大切にしたいと思った。 (くまざわ書店新潟西店・大谷純子)

著者コメント

このたび小説『神曲』を11月に刊行することになりました。 2年半ぶりの小説となります。 この数年間、 「目に見えないけれども、 そこにあるもの」を、 小説というかたちで描いてみたいとずっと願っていました。 神や仏、 心や魂、 そして愛。 「目に見えないけれども、 そこにあるもの」に強く惹かれ、 時に盲信してしまうのはなぜなのだろう。 とある神を信じた妻と、 その夫。 信心と不信のあいだで揺れる娘。 三人の目線を交差させながら「神の正体」を描く物語。 その構想を尊敬する作家に話したところ、 「川村くんは信仰を描きたいのではなく、 それを“信じられない”ということを描きたいんだよ」と言われたのです。 そのとき、 今の自分が「何も信じられない」と思いながら生きていることに気づきました。 一方で「何かを信じたい」と強く願っていることも。 自分が描くべき小説のかたちが、 はっきりと見えた瞬間でした。 その後、 2年半かけて『神曲』を書いてきました。 奇しくも正体不明のウィルスに世界が席巻され、 インターネットに顔の見えない悪意が蔓延る時代となっていきました。 書きながら苦しみ抜いて、 最後に微かな光のようなものを感じながらペンを置きました。 そのとき見えた景色が、 本作の表紙となる川内倫子さんの写真のような光景でした。 この不信の時代に「信じる」ことを描いた本作が、 ひとりでも多くの読者に届き、 微かな希望となることを願ってやみません。

担当編集者のコメント

稀有な物語の紡ぎ手である川村元気さんが、 世界が揺れ動く今、 テーマに選んだのは「不信の時代に、 目に見えないものを信じること」でした。 未知のウィルス、 SNSに渦巻く悪意、 他者とのあいだに感じる壁。 鳴り響く美しい旋律、 人とのつながり、 愛と、 心。 どれも、 目には見えないけれど、 たしかにそこに「ある」はずのものです。 この小説は、 ある日突然息子を喪い、 地獄に突き落とされた家族三人の物語を通じて、 「目には見えないもの」の輪郭をじわじわと浮かび上がらせ、 そして読む人にも静かに問いを突きつけてきます。 あなたは、 信じますか。 信じるに値するものが、 この世界にあると思いますか、 と。 そして、 気づけば怒涛の展開に巻き込まれ、 翻弄されています。 三人に次々と降りかかる出来事に、 心の中で祈り、 叫び、 半ば懇願するような気持ちで読み進めた先、 ラストに待ち受けるものとは――。 連載の最後の原稿には、 打ち合わせでも一度も出ていなかった展開とシーンが描かれていて、 読みながら鳥肌が立ったのを憶えています。 読み終わった後もしばらく、 さざ波のように、 静かな心の震えが収まりませんでした。 ああ、 まさか、 こんなところに連れてこられるとは……!!物語に存分に振り回されたあと、 読後もじんわりと広がるこの心の波紋、 心が痺れてしばらく動けなくなるようなこの余韻こそが、 小説を読む醍醐味であると思います。 それをぜひ、 お読みいただいた皆さんと共有できたら嬉しいです。

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