悪夢のジャッジが秋の甲子園でまた… 広島ファンは6年前〝幻の本塁打〟を覚えているか

佐々岡監督は球団に意見書提出を求めた(東スポWeb)

鯉党の悪夢を呼び覚ますジャッジとなった。広島は18日、阪神戦(甲子園)で1―2と惜敗。3位・巨人とのゲーム差は3に拡大し、大逆転CS進出の可能性が遠のいた。

問題のプレーが生まれたのは2点を追う8回。まずは無死二塁から長野の中前適時打で1点を返し、なおも無死一塁から代打・会沢が浅いライナー性の打球を左前方向へ放った。ところが、これを左翼手・板山がグラブを伸ばし、地面スレスレでキャッチ(?)。一塁から代走の大盛が飛び出していたため、ダブルプレーで一気に二死となり、続く宇草が倒れて反撃はついえた。

佐々岡監督はすかさずリクエストを要求したものの、ビデオ検証でも判定は覆らず併殺打のまま。角度によってはグラブですくい上げる瞬間、ボールは地面に一瞬落ちたようにも見えたが…。安打であれば、確実に無死一、二塁の絶好機となっていたところ。カープにとっては痛すぎるジャッジとなった。

試合後、佐々岡監督は納得いかない表情だった。リクエストの場面について「あそこの(大盛の)判断は難しい判断だったと思うし、主審に言ったのは〝ジャッジが遅いんじゃないの?〟と。ジャッジが遅いから一塁にも帰れないし、ボールが地面についているように見えた」。腹の虫はなお収まらず、「大事な場面だった。ジャッジの遅さで帰れなかったというのは伝えました」と憮然として言葉を吐き出した。

広島は秋の甲子園に苦い思い出を抱えている。CS進出を阪神と激しく争っていた2015年9月12日。2―2の延長12回に田中広輔が甲子園の左中間スタンドに飛び込む〝幻の勝ち越し本塁打〟を放った。しかしビデオ検証の末、フェンスに直撃したとして本塁打は認められず、この一戦は引き分けとなった。

その後セ・リーグによる再検証の結果、異例の「誤審認定」がされたが試合結果までは覆らず、広島は0・5差の4位で阪神にCS出場権を譲った。当時の緒方監督が「ファンも見ている。二度とこういうことがないようにしてもらいたい」とメッセージを残した一件は、鯉党の脳裏に強く焼き付いている。

あれから6年、今回もまたビデオ検証が行われたにも関わらず、広島にとっては首をかしげる結果に…。佐々岡監督が憤慨して「何のためのリクエストだったのか」と球団に対してNPBへの意見書提出を要請したのは当然だろう。

シーズン佳境のセ・リーグで今最も熱いテーマが10連敗中の3位・巨人に2・5差まで迫った4位・広島のCS争いだった。この一戦により、奇跡のAクラス入りを逃したならば――。鯉党はまた、悶々とした日々を過ごすことになるのか。

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