TSMCの支援で日本の半導体産業が再興すると考えるのはあまりにも浅はか―中国人専門家

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2021年10月17日、日本の華字メディア・日本華僑報網は、「TSMCは日本の半導体業界を救うことができるのか」とする、常州工学院・陳言(チェン・イエン)兼任教授の文章を掲載した。

陳氏は、台湾の半導体大手TSMCが14日に、日本に工場建設する方針を発表したことを紹介。日本のメディアは瞬時にこの件を取り上げ、同社が2022年より熊本県菊陽町に1兆円を投資して22〜28ナノメートルの半導体工場を建設し、24年の生産開始を目指すこと、日本政府から5000億円の出資を獲得したことを報じるとともに、「日本の半導体産業の大救世主がついに現れた」と感激混じりに報じたと伝えた。

その上で、日本の半導体産業は1988年に世界市場の50.3%のシェアを獲得し、米国の36.8%を大きく上回っていたのものの、約30年後の2019年には立場が逆転し、米国が世界シェアの50.7%を獲得する一方で、日本はわずか10.0%にまで減少したと指摘したほか、シェアの縮小に加えて日本の半導体工場が老朽化し、ローエンド製品しか生産できない状態になっていると指摘した。

また、日本の企業や政府が得意とする、部品調達から製造までをグループ企業内でまかなう垂直生産方式は半導体産業においてもはや強みを発揮することができず、インテルやサムスン、TSMCなど水平分業方式を採用する大手半導体メーカーのサプライチェーン内に「日本企業の姿はほとんど見られない」とした。そして、日本の半導体分野の衰退は単に製品だけでなく、不十分な政策、そして生産方式の改革不足といった点にも起因していると指摘した上で、日本政府が目指す自国内での「強靭な半導体サプライチェーンづくり」の結果について、「楽観視することは難しい」としている。

陳氏は、「日本の政治家やメディアが米中のハイテク分野での対立をしばしば取り上げ、米国側に就いて中国をサプライチェーンから締め出そうとしている」とする一方で、「実際、日本の半導体にダメージを与えたのは米国の政策であり、米国企業だ」と主張。「日本政府がこれまでに打ち出してきた半導体政策支援がことごとく失敗する中、今回運良くTSMCの支援が得られたことで日本の半導体産業が再興すると考えるのは、あまりにも浅はかだ」とした。

さらに、半導体産業は24年には生産能力過剰が発生するということが、半導体業界に詳しい人であればみんな知っているにもかかわらず「日本政府は強靭な半導体サプライチェーン構築のために、見て見ぬふりをしている」とも指摘。そして「周期的な産業の循環による転換期が到来する頃には、現在の日本政府の政策決定者はすっかりいなくなり、今回の投資の結果について追及する人もいないだろう。ただ、日本という国が衰退の道をさらに遠くへと進んでいくのみだ」と結んでいる。(翻訳・編集/川尻)