11,000マイルで20,000円ゲット、千歳〜福島線が「270円」も! 福島空港キャンペーンの破壊度を検証する【橋賀秀紀のフカボリ!】

10月に緊急事態宣言が明けるとともに、各社や各自治体が猛烈な勢いでキャンペーンを打ち出しています。こうなると、片っ端から手を出すわけにはいかないので、どのキャンペーンが本当にオトクなのか、それとも実際のところそれほどオトクではないのかを見極める必要が出てきます。

今回とりあげる福島空港のキャンペーンは、ややマニアックではありますが、オトク度という意味からいえば申し分のないものといえます。

飛行機に乗るか降りるごとに5,000円もらえる

キャンペーンの内容はいたって簡単。2021年11月1日から2022年1月10日の間、福島空港の定期便を利用した人を対象に空港で現金5,000円をキャッシュバックするというものです。

[福島空港利用で5,000円キャッシュバック、2\.6万席対象
https://www.traicy.com/posts/20211014222083/](https://www.traicy.com/posts/20211014222083/)

対象となるのは26,000席分。そのため、事務経費を除いた予算は1億3,000万円というなかなかの規模となります。

実は福島空港、空港利用者を対象にした地元在住者向けのキャンペーンを以前から継続的に行っていました。例えば空港のお膝元ともいえる郡山市の商工会議所内にある郡山市福島空港活用促進協議会では、郡山市民を対象にキャッシュバックキャンペーンを行っており、現在も継続中です。しかし往復利用で1回が限度。さらに前日までに申請書をメールし、利用後2週間以内に実績報告書などを郵送しなければならないなど、個人で利用した人がどのくらいいるのか疑問なほどの厳しさです。

ところが今回のキャンペーンは居住地制限なし、回数制限なし、事前申請も事後申請もなし。とにかく空港に行って飛行機に乗るときは搭乗待合室、降りたときは手荷物受取所内のキャッシュバック専用カウンターで受取証に氏名を記入する。それだけです。

航空券は有償航空券でもマイレージの特典航空券でもかまいません。1席につき5000円なので、2歳以上の子どもで自分の座席があるならキャッシュバックの対象となります。

札幌/千歳便と大阪/伊丹便をどう利用するか

現在、福島空港の定期便は、札幌/千歳・大阪/伊丹〜福島線の2路線に限られています。全日本空輸(ANA)とアイベックスエアラインズをあわせて札幌/千歳線が1日2往復、伊丹線が同4往復。これがすべてです。

そのため、首都圏在住者がこのキャンペーンを享受しようとすると、首都圏から福島空港まで陸路で行く必要が出てきます。そのお金や時間がばかにならないので、キャンペーンに参入する障壁となっています。

さて、問題は航空券がいくらで売られているのかということ。一番安いのはアイベックスエアラインズの「IBEX45」という運賃。45日前までの予約が条件となりますが、札幌/千歳〜福島線が5,270円なので5,000円引きでわずか270円になります。大阪/伊丹〜福島線は9,260円が最安値なので4,260円。しかし実際には112,60円かかる日が多く、その場合は差し引き6,260円となります。

前述したように特典航空券もキャンペーンの対象になります。ANAの特典航空券を利用した場合、両路線ともにレギュラーシーズンで7,500マイルとなります。

特典利用なら「UAガチャ」が狙い目

もし、ユナイテッド航空のマイレージプラスのマイルを持っているのであれば、オトク度は飛躍的に向上します。

同航空のANA国内線の片道特典航空券はどのルートを拾ってくるかわからないことから「UAガチャ」とも呼ばれますが、こうしたキャンペーンのときは威力を発揮します。ルートによっては羽田-那覇-伊丹-福島とまわってトータルのマイル数が出発21日前までの発券でトータル5,500マイル。それ以降でも6,000マイルで済みます。

「UAガチャ」を利用して、札幌/千歳〜福島〜大阪/伊丹を含む特典航空券を出すこともできます。

筆者が調べた範囲内では日によって次のようなルートも5,500マイルないし6,000マイルで発券可能でした。

女満別〜札幌/千歳〜福島〜大阪/伊丹

中標津〜札幌/千歳〜福島〜大阪/伊丹

釧路〜札幌/千歳〜福島〜大阪/伊丹

札幌/千歳〜福島〜大阪/伊丹〜松山

札幌/千歳=福島〜大阪/伊丹〜高知

大阪/伊丹〜福島〜札幌/千歳〜名古屋/中部

大阪/伊丹〜福島〜札幌/千歳〜小松

福島空港での乗り継ぎは30分ほどのケースもありますが、その場合も到着で5,000円、出発で5,000円。トータルで10,000円を獲得できます。つまり、伊丹から道東までANAで1往復するとかかるマイルが11,000マイル。その代わりに20,000円のキャッシュバック

を得られるということになります。

近畿に住んでいる人の場合、大阪/伊丹〜福島〜札幌/千歳〜名古屋/中部を利用し、陸路で名古屋/中部から戻ってくれば5,500マイルで10,000円キャッシュバックが得られます。

首都圏在住者の場合、福島空港までの移動が必要になるケースが多いと思います。おすすめなのは東北新幹線の「お先にトクだ値」を利用する方法。20日前までの予約発券が必要ですが、東京-郡山がわずか4,060円です(2021年12月15日まで)。

2021年12月10日以降であれば、「青春18きっぷ」とのコラボも可能です。福島空港から水郡線の泉郷駅までは4キロほどなので、健脚のツーリストであれば徒歩でのアクセスも可能でしょう。

最後に気になるのは26,000席分がいつなくなってしまうのかという問題です。福島空港は、コロナ以前の10年間、年間ほぼ20万~24万人の利用客数を維持してきました。2021年11月にはコロナの影響がほぼなくなったと仮定して月約2万人が利用し

たとすると、1か月余りでキャンペーン対象の26,000席に達します。

しかし、問題なのは、果たして利用者「全員」が5,000円をもらいにカウンターに並ぶかどうかです。キャンペーンの存在を知らない人も少なくないでしょうし、知らない人がその場でそれを知ってカウンターに行くのか、あるいはうさんくさいと思うのか、そのあたりが蓋を開けてみないと皆目想定がつきません。ただし、意外にひっそりと行われ、知っている人だけがカウンターに行くというケースもありえます。その場合、このキャンペーンは意外に長生きする可能性もあります。

このキャンペーンが終わったあとには、事前に登録した上で発着便をビジネス目的で使った場合にキャッシュバックする取り組みも始める方針を明らかにしていますが、普通の旅行者がこれだけ大きな特典を得られるのは今回に限定されるのではないでしょうか。

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