韓国紙「文政権の《おかげ》で野党大統領候補がむしろ強く」「朴槿恵政権の再評価さえ浮上」

韓国紙がムン・ジェイン(文在寅)大統領を逆説的に評価する記事を掲載している。ムン大統領の「業績」により、最悪と言われたパク・クネ(朴槿恵)前大統領らの評価が再浮上しているとの指摘だ。

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嶺南日報は19日、ソ・ミン檀国医大寄生虫学科教授のコラム『文在寅政権の肯定的業績たち』を掲載し、皮肉を込めた再評価を行った。

ソ教授は、文政権から事実上検事総長の座を追い出され、その後、最大野党の大統領候補として高支持率を維持するユン・ソギョル(尹錫悦)元検事総長について取り上げ、ユン元総長が立候補直後から政権から数々の「攻撃」を受け、一時は候補に留まることも危ぶまれたが、叩かれる過程で磨かれ、「本物」になりつつあると評価する。

ソ教授は、「ユン・ソギョル候補が政界に飛び込むや巨大な攻撃が撃ち込まれた」とし、「義母が拘束され、夫人に対する根拠のない疑惑が束となって作られ市中に出回った」と指摘しつつ、「脈絡を考慮してみると、そのほとんどは、問題になるようなものではなかったが、反対勢力はこれを増幅させることでユン候補が全くダメな人物のように追い込んだ」と分析した。

文在寅大統領/青瓦台

ソ教授は、前回の大統領選挙において、パン・ギムン(潘基文)前国連事務総長が野党候補として高支持率を記録するも、選挙活動において様々な「失態」を攻撃される過程で辞退に追い込まれたことを挙げ、ユン候補についても、そのような懸念が野党支持者の間に存在したことを挙げた。

ソ教授は、与党議員が、ユン候補は支持率が15%以下になれば自然とフェードアウトすると喜んだが、「しかし、政治(立候補)宣言から4ヶ月が過ぎた今、彼が大統領選を自ら放棄するだろうと考える人はいない」と述べている。

ソ教授は、このような状況について、「なぜ潘基文は失敗したが、ユンソクヨルはそうならないのか?」とし、「私はこれが《文在寅士官学校》のおかげだと思っている」と指摘した。

ソ教授は、ユン候補をみて国民たちが、「ほとんどあきらめていた政権交代の希望を改めて生き返らせ、その期待に応えてユン候補は政界に飛び込み善戦している」とし、「現政権の過酷な弾圧が政治に興味なかった検事を根気のある政治家に育ててくれたということになる」と分析した。

その意味でソ教授は「私はこれを文在寅士官学校と呼ぶだろう」とし、「優れた兵士を養成するとき丈夫な青年を連れてきて、過酷な訓練をさせるように、文在寅士官学校は、健康な検事をよく訓練し、検証された政治家の育てたのである」と皮肉を込めて評価した。

ソ教授は、「文在寅政権治下で暮らすのが大変だという話がたくさん聞こえる。はたして言政府の業績が何なのかという愚痴も結構聞いた」としつつ、しかし、「ユン候補が大統領になって国を元どおりに回復させれば、「これもムン政権の業績として見なければならないだろう」と指摘した。

また、国政壟断事件で弾劾され収監された朴槿恵前大統領についても、当時は皆が「韓国最悪の大統領として(後世に)残ると考えた」としつつ、「しかし、文政権になってから4年余りが過ぎた今はそのような考えをする人が大幅に減り、むしろ《朴槿恵の時が良かった》という言葉がはるかに多く聞こえる」「やはり刑務所にいる李明博元大統領についても、人々がこのような言葉を口にする」と伝えている。

嶺南日報は慶尚道の地方紙だ。慶尚道は伝統的に保守系政党の地盤となっている。文在寅大統領の国政支持率は40%台前後を維持しているが、次の国政は担うべき党についても支持率調査では野党(保守系)が現与党を上回っている。

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