西武伝統の“つなぎの野球”不発 残り4試合、迫る42年ぶり最下位の危機

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

チーム野手最年長コンビが牽引…山賊打線にも根本的なテコ入れが必要

■ロッテ 2ー1 西武(18日・メットライフ)

リーグ5位の西武は18日、本拠地メットライフドームで行われたロッテ戦に1-2で惜敗。最下位の日本ハムに0.5ゲーム差と肉薄された。仮に西武が今季最下位に終われば、球団買収初年度の1979年以来42年ぶりとなる。

この日、西武は1点を追う初回、ロッテ先発の美馬を攻め、2死二塁から4番・中村の中前適時打で追いついた。2回にも先頭の川越が右翼線二塁打を放ち、無死二塁のチャンスを迎えたが続く岸の送りバントが捕邪飛となり、飛び出した二塁走者の川越も刺され痛恨の併殺。すると3回以降、立ち直った美馬に7回までわずか1安打と完璧に抑えられ、8、9回も佐々木千、益田から得点を奪えなかった。

「美馬はあまり調子がいいようには見えなかったけれど、ミスをしているとああいう風になっちゃう」。辻監督は試合後、淡々と振り返った。同日現在、首位に立ち16年ぶりの優勝へ向けてマジックを6としたロッテと、最下位が見えてきた西武は対照的だった。

西武・中村剛也(左)と栗山巧【写真:荒川祐史】

21世紀最下位なしは巨人と西武だけ

今季の西武は開幕直後から故障者が続出。主力が顔をそろえる期間が非常に短く、スタメンが“猫の目”となったこともあって、チーム伝統のつなぎの野球が機能しなかった。この日も主将の源田が、前日に自打球を当てた影響で欠場していた。

とはいえ、ケガを言い訳にしてはいられない。2017年から19年まで3年連続リーグトップを誇ったチーム打率は、昨年.238で5位。今季も現時点で5位の.241と低落傾向にある。野手陣を牽引してきた栗山、中村のチーム野手最年長コンビも来季は39歳となることから、“山賊打線”には根本的なテコ入れが必要となりそうだ。

21世紀に入ってから最下位になったことがないのは、12球団で巨人(1975年に球団史上唯一の最下位)と西武だけ。辻監督就任後も昨年までは4年間で優勝2回を誇り、Bクラスもなかった。現役時代に名二塁手として黄金時代を支えた辻監督としては忸怩たる思いだろう。今季残り4試合のうち、3試合は日本ハムとの“直接対決”。最下位回避のために意地を見せることも大事だが、来季へ向けて中堅、若手の奮起こそ望まれる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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