原点は「戦争、被爆、公害」 長崎平和推進協会 理事長 調氏が講演

自らの活動の原点について語る調さん=長崎市、長崎原爆資料館ホール

 6月に長崎平和推進協会の理事長に就任した長崎大教授の調漸(しらべすすむ)さん(66)が17日、長崎市平野町の長崎原爆資料館ホールで講演。被爆者救護に尽くした祖父の存在や、熊本大医学部在学時に情熱を傾けた水俣病患者救済運動が「原点」と語り、「戦争と被爆と公害。通底するのは人の尊厳を無視した結果」と訴えた。
 祖父は、被爆直後の救護や後遺症研究に尽力した旧長崎医科大教授の来助氏。調さんの母の兄に当たる来助氏の息子2人が原爆で亡くなっており、調さんは「わが家のお盆は8月9日だった」と振り返った。
 熊本大在学時に水俣病の患者救済運動に傾注したことにも触れ、「水俣病の大きな原因は人を人として扱わなかったことにある」という医師の言葉を紹介した。
 長崎大核兵器廃絶研究センター創設や、若者が核情勢を学び活動する「ナガサキ・ユース代表団」育成の経験を踏まえ、「長崎で若者の核廃絶運動で足りないのはつなぐ場所。集う場所づくりのお手伝いをしたい」と意気込みを語った。
 講演は、同協会のボランティアガイド「平和案内人」の全体会の一環。約100人が聴講した。

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