クリナップが「キッチン+ダイニングテーブル」の新提案

クリナップ(東京都荒川区)は、シンク・調理台機能を備えたキッチンテーブルとシンプルなダイニングテーブルを組み合わせ、料理や食事の時間以外でも使える新しいスタイルのキッチン「HIROMA(ヒロマ)」の本格販売を10月4日に開始した。従来型の販売ルートに加え、専用ECサイトでの直販も始める。

家具メーカーの飛騨産業(岐阜県高山市)とのコラボで誕生した、リビングやダイニングに置けるコンパクトな家具調キッチン。料理に関心はあるが手間暇はかけられない生活者を想定し、キッチンの要素を極力シンプルにし、ダイニングテーブルを合わせることで、新しいLDKのあり方と職住融合型の暮らしを提案する。

スタンダードタイプ。幅900・1350mmの2種類、奥行850mm。ワークトップとシンクの素材は人大で、色はワークトップがマットブラック、シンクはグレー。キッチンテーブルは税込48万9500円〜。ダイニングテーブルは幅800〜2200mmの範囲で50mm刻みでオーダー可能

最大の特徴は、「キッチンテーブル+ダイニングテーブル」のシンプルな構成と、仕事や趣味にも使えるフレキシビリティの高さ。キッチンテーブルは、天然木フレーム+ワークトップ+シンク+IHクッキングヒーター(ありなし選択可能)+コンセント+配管キャビネットを備えており、使わない時はトッププレート(別売)でシンクの半分を覆って生活感を隠すことができる。ダイニングテーブルにはキッチンテーブルと同じホワイトオークを採用しており、こちらは空間や使い方に応じて移動したり角度を自由に変えられる。

スタンダードタイプ、コンパクトタイプ、ロータイプの3種類をラインアップ。別売でキッチンテーブル下に収まるワゴン収納やチェアなども用意した。

ロータイプは、ワークトップとダイニングテーブルの高さが同じ713mm。座って作業できるため、ダイニングテーブルやソファにいる家族と視線が合う。キッチンテーブルは税込48万9500円〜

キッチンテーブル下に配置するワゴン収納は税込8万8000円。素材はホワイトオーク。3色

当初は30〜40代DINKSや中古マンションリノベをメインターゲットに想定していたが、飛騨産業による先行テスト販売とクリナップによるモニター販売を実施したところ、二世帯住宅や住居兼オフィス、イベントスペース、宿泊施設など多様なニーズが判明。住宅のメインキッチン、サブキッチンのほか、様々なシーンでの利用が考えられるとする。

また、今回のHIROMAは、クリナップの中長期的戦略における事業領域拡大に向けた取り組みの1つとして2015年から事業化を模索し、実を結んだもの。飛騨産業との協業は2018年から。このコラボにより、キッチンからダイニングへと事業領域が広がり、キッチンテーブルという新商材を創造できたとする。
新しい売り方にも挑戦している。従来型のリアルな販売方法に加え、プロモーションから納品までの全工程をデジタル化。エンドユーザー・プロユーザーに向けて、SNSやイベント、広告を通じてHIROMAの魅力をアピールして専用ECサイト(11月上旬後公開)に誘導、詳細確認やプランニング、見積もり、購入相談をオンライン上で行い、担当窓口が注文内容を確認したうえで納品するスキームを構築した。あわせて商品の展示・対面販売を行う代理店も募集する。

竹内宏社長

同社・竹内宏社長は「クリナップは、創業者が西日暮里の3坪の掘立て小屋でケヤキの座卓をつくって販売したのが始まり。10月5日に創業72周年を迎えた今年、現代の座卓であるダイニングテーブルの事業に改めて参入し、新たな挑戦に踏み出すことに大きな意味を感じる。この新しい市場を中長期的視点で大切に育てていきたい」と話す。

© 株式会社新建新聞社