秋吉台国際芸術村で「プラテーロとわたし」 10月24日にコンサート、同25日から銅版画原画展

 秋吉台国際芸術村(美祢市秋芳町)で、「プラテーロとわたし」を題材とした企画が展開されており、第1弾のトークイベントが10月3日に開催された。第2弾・第3弾では、ギタリストの大萩康司、メゾソプラノ・朗読・翻訳の波多野睦美、銅板画家の山本容子によるコラボ作品にスポットを当て、コンサートと展示が実施される。

 「プラテーロとわたし」とは、ノーベル文学賞も受賞したスペインを代表する詩人のフアン・ラモン・ヒメネス(1881-1958)による散文詩。精神に不調をきたし、故郷モゲールで療養していた時の経験を元に、日常や自然、人々の姿を、共に過ごしたロバのプラテーロに話しかけるように書かれた138編からなる。また、イタリアの作曲家、マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)は、同詩集の中から28編を選び、ギターと朗読の掛け合いで進む曲をつけた。

 そのテデスコによる作品を、波多野が原詩のリズムを生かした日本語に訳し、2016年に大萩のコンサートで初めて演奏。2019年には、大萩の立ち上げたレーベルから、全曲盤CDがリリースされた。ジャケットには、プラテーロを描いた山本の作品を使用。そしてCDの発売と連動して、1編ごとの着彩銅版画が計28点掲載された山本の詩画集(A5変形判120ページ、理論社)も出版された。

▲「詩画集 プラテーロとわたし」より「戻り道」

 音楽ジャーナリストの林田直樹は、CDが売れないこの時代、心に残る作品として同作を挙げる。「時間と愛情をこめて、じっくりと作られた、こうした贅沢なパッケージからは、漂ってくるものが違う。大事にそっと長く手元に置きながら、じっくりと五感で味わいたくなる。そして1曲1曲、真剣に耳を傾けたくなる。これはデザインや読み物も含めたトータルとしての作品というべきものであり、その本質は『アーティストの思いやメッセージが込められている』ということに尽きる」と、この取り組みを高く評価する。

 同芸術村での大萩と波多野によるコンサートは、10月24日(日)午後2時から開催。入場料金は、一般3000円で25歳以下は1000円。同施設ウェブサイトの専用申し込みフォーム(https://aiav.jp/apply/?event=16341)か電話での申し込み(TEL0837-63-0020)でチケット購入できる。会場となるコンサートホールには、「詩画集 プラテーロとわたし」に収められた全28点の原画も展示され、開演前の午後1時からは、山本によるプレトークもある。

▲山本容子

 そして、翌25日(月)から31日(日)までは、山本による原画を鑑賞できる「山本容子銅版画原画展『プラテーロとわたし』」が開催される。入場は無料で、時間は午前9時から午後5時まで。

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