越谷と湘南をつなぐ、東京あだちキャンパスを新設。 3つのキャンパスが連携することで、 総合大学としての新しい魅力を構築

東京あだちキャンパスが開設されたことにより、3キャンパス体制へと移行した文教大学が、これからどんな未来をめざしていくのか。新キャンパスが設置された背景とともに、その設計コンセプトや特徴などについて紹介していきます。

新キャンパスの開設をきっかけに大学の総合力を高める

文教大学では、2021年4月、東京あだちキャンパス(東京都足立区)を開設することにより、既存の越谷キャンパス(埼玉県越谷市)、湘南キャンパス(神奈川県茅ヶ崎市)と合わせて3キャンパス体制へと移行しました。

新たなキャンパスが開設された背景としては、近年の大学を取り巻く環境変化が大きく関係しています。具体的には、各キャンパスの狭隘化が進行したことにより、教育力、競争力を高める学部学科の再編が困難であること。さらに、距離的な面から学部間連携や学生の交流が物理的に難しかった点が挙げられます。

こうして誕生した東京あだちキャンパスには、国際学部と経営学部の2学部と国際学研究科で学ぶ学生およそ1800名が湘南キャンパスから移ってきましたが、新キャンパスの開設を契機に文教大学では、ひとつの総合大学として一体的に運営する環境整備も進められています。特に、学部構成や地域特性などが異なる3キャンパスにおいて、人や知、地域などの交流が促されることで生まれる新たな力は、大学の総合力を高めていくことに大きな役割を果たしていくことが見込まれています。

また、オンラインも活用しながら3つのキャンパスを有機的につなぐなど、これまで学内で培ってきた技術やノウハウを応用しながら、大学としての新たな連携を確立。全学の力を結集することで、総合力で「育ての、文教。」のブランドの向上が図られていきます。

東京あだちキャンパスに移転した国際学部と経営学部の学びの特長

では、新たに開設された東京あだちキャンパスに移転してきた国際学部と経営学部には、それぞれどんな学びの特長があるのでしょうか。

まず、国際学部には「国際理解学科」と「国際観光学科」の2学科を設置。いずれの学科も海外研修、発展途上国支援プロジェクト、観光ビジネス・サービスの探究、まちづくり参加などで得られる体験知と教室での学びとを結びつける「体験型学習」が特長になっています。加えて、さまざまな価値観をもった人々と協力して働き、ともに生きることが求められる、これからの国際社会で活躍していくため、きめ細かな語学教育を展開し、学生を徹底的に鍛えていくことも、本学の国際学部ならではの魅力です。

続いて経営学部では、経営について幅広く学びながら、企業の発展だけでなく、よりよい社会の実現に貢献できる、新たな経営について探究していきます。IT(情報技術)やAI(人工知能)が発達するなかで、人間が機械に代替されないためには、より高次元の創造性の発揮が必要となります。そこで本学の経営学部では、専門的な知識や能力をもとに、協力しながら創造的に問題解決へとつなげられる能力を育みます。そして、人間尊重を実現したうえで多くの人を生かしていくことができる、次世代を担う人材を養成していきます。

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3つのキャンパスの個性を生かしながら大学としての発展をめざす

また、東京あだちキャンパスには、文教大学の建学の精神「人間愛」が深化・具現化されています。建設にあたってのビジョンは、

【広げる・広がる】

地域に開き、地域に溶け込み学究のフィールドを広げるキャンパス

【深める・高める】

社会の課題や価値観に触れるさまざまな「場」を創り、優秀な人材を育む環境をつくる

【伝統から未来へ】

変化するニーズに応えるフレキシブル性を有し、かつ人々に親しまれ続けるキャンパスという3点から構成されており、既存2キャンパスをつなぐ中核的な拠点として、大学を50年100年先へとつなげる契機(将来的な備え)になっていくことが目指されています。

さらに、設計のテーマとされているのが周辺環境との連続性です。学生はもちろん、教職員、地域住民など、多くの人に愛される開かれたキャンパスをめざし、大学から街へと広がる学びの風景「ラーニングランドスケープ」を描いていくため、3つの“わ”(地域・社会との“和”・人と人との対“話”・人と環境にやさしい循“環”)が、デザインの基幹となっています。

加えて、「ラーニングランドスケープ」を描いていく、つまり「地域に溶け込む」ことを軸にデザインされた東京あだちキャンパスには、フェンスが設けられていないため、地域の住民の皆さんが構内に自由に出入りすることができます。現在のところ学食の利用が開放されていますが、今後は図書館の開放が予定されているほか、足立区と結ばれた包括協定にもとづいて、区民とのオープンな交流をベースとしたまちづくりへの参加も計画されています。

学習面から見た新キャンパスの特徴としては、「みつける」「知る」「考える」「つくる」「広める」にフェーズ分けされている点が挙げられます。この5つのサイクルをまわす能動的学習支援の機能をもちつつ、ゆったりくつろげる空間で、学生の滞在時間を高めて学びを定着させていくのが、その狙いです。

なかでも、快適な学習環境とキャンパスライフを演出するための仕掛けとして特徴的なのは、教育・研究ゾーンのラーニングコモンズと図書館のエリアです。建物内のメイン動線である通路上に学習スペースを配置し、自主学習や学生同士の交流を促進。3階は、じっくり落ち着いて学習準備をすることを目的にフォーマル・リラックスの2種類に分けられ、2階にはカジュアルに意見交換できる空間と、緊張感をもって相談しながら学習を進められる2種類の空間が設けられています。

今後の展望としては、新キャンパスの開設を契機に、文教大学がこれまで培ってきた人材・知識・経験を、キャンパスの垣根を越えて融合させていくこと。そして、多様性と柔軟な発想をもって、3つのキャンパスがそれぞれの個性を発揮しながら、教育・研究での連携強化を推進していく。そうしたプロセスの成果として、総合力で発展していく大学へと成長していき、広く社会の発展に寄与していくことが期待されています。

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