超貴重!少年時代のイ・ジョンソク&イ・ジェフンほか、人気俳優たちの初々しい姿を楽しむお宝映画『鬼』

アジア映画に特化した動画配信サイト「おうちでCinem@rt」で独占配信中のホラー映画『鬼』。本作は学校を舞台にした3つのエピソードから成るオムニバス作品です。怪しげなタロットハウスを訪れた3人の女子高生が、占い師から渡されたカードを手に自分の名前を唱え、彼が言う“人生で一度きりの特別な体験”をすることになります。

最初のエピソード『呼び寄せる手』は、廃校の独特の不気味な雰囲気が感じられる一編。ある日、捨てられた子猫を見つけた女子高生が、他の生徒たちから子猫の番をするよう言われて一人になり、その間に誤って半地下の廃教室に転落、そのまま誰にも発見されることなく亡くなってしまいます。その後、旧校舎の演劇部の部室に小道具を取りに行くよう、先輩から言われたランたち後輩部員3人が、取り壊し寸前の廃校に入ると……。

このエピソードで面白いのは、彼女たちが廃校に入るのは昼間で、よくあるホラー映画のように暗くなった放課後ではないという点。むしろ明るいほうが校舎の荒廃している様子がはっきり分かり、かえって恐怖心を煽られるような気がします。そして、この出来事の発端となる、最初に転落死する女子高生について振り返ってみると、彼女がいじめとまではいかなくとも、仲間外れのような扱いを受けていたのだろうと推測され、無関心が引き起こす悲劇にやるせない思いにさせられます。

2番目のエピソード『私のそばにいて』はホラーというより、リアルな学園ドラマに近いかもしれません。ナミとソヨンは唯一無二の親友。生徒会長ジェヨンの子を妊娠したナミを気遣う一方で、ソヨンはソウル大学への推薦資格を得るため、ナミに隠れてジェヨンと取り引きしようとします。推薦資格は彼ら3人の候補者のうち、一人しか受けられないのです。間もなく、不良生徒から暴力を受けたナミが、ソヨンに助けを求めますが……。

受験に対するプレッシャー、思わぬ妊娠、無責任な男子生徒、成績が全てという教師の姿勢などが友情にも暗い影を落としていきます。彼女たちが放課後勉強する自習室の名が“スカイルーム”というのが象徴的です。スカイはソウル大、高麗大、延世大という有名大学の頭文字SKYを取った名称で、ドラマでもスカイ出身かどうかでその人物が判断される場面がよく出てきます。恨みを抱いた幽霊よりも、成績によって何もかもが左右されてしまう彼らの日常のほうが怖いと思えてきませんか。

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3番目のエピソード『鬼少年』は高校生らしい恋の話に、コミカルな描写も少し交えられた学園ファンタジー。幽霊が見えてしまう高校生のチョルミンは、ある日同じクラスの優等生ジェファンのそばに女子高生の幽霊がいることに気づきます。臆病なチョルミンは見えないふりをしますが、ソヒという名の彼女が命を落とした経緯や、ジェファンへの恋心を聞かされて切ない気持ちになります。そこに、ソヒを殺して命を絶った連続殺人犯が悪霊となって現れ……。

チョルミンはムーダン(男巫)の祖父に悪霊退治の方法を教えてもらい、悪霊を封じ込めようとします。占いやお祓いが身近な韓国らしさを取り入れた興味深い設定です。オカルト色はありますが、女子高生の幽霊が健気で可愛らしく、チョルミンが彼女の恋心をジェファンに伝えようと懸命になる様子は、瑞々しい青春ドラマさながら。

学校を舞台にしたホラー映画は昔から多く作られてきた人気ジャンル。本作はそれぞれ違うテイストの3つのストーリーが楽しめるだけでなく、現在活躍するスターの10年以上前の姿が見られるのがなんとも贅沢です。

1作目はラン役をハン・イェリ(当時はキム・イェリ)、同級生役はイ・ジェフン、そして彼らの先輩をデビュー間もないイ・ジョンソクが演じて目を引きます。2作目は『息もできない』で知られるキム・コッピがミナ役を、生徒会長役をホン・ジョンヒョンが演じました。最後はチョルミンに子役出身のイ・テリ(当時はイ・ミンホ)が扮し、まだニキビ痕の残る少年らしい顔を見せています。さらに、占い師役のペ・スビンに加え、エピローグではナム・ジヒョンも登場。

あのスターにこんな時代があったんだ! と発見できる、お宝映画と言えそうです。


Text:小田香

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