防護柵の設置が世界の生物多様性の目標達成の妨げに―中国メディア

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中国科学院青蔵高原(チベット高原)研究所が18日に明らかにしたところによると、同研究所などの機関の研究者は、一部の国と地域でよく見られる防護柵プロジェクトは絶滅危惧種をある程度保護しているが、動物の渡りと遺伝的交流を阻害し、世界の生物多様性の目標達成を妨げていることを発見した。研究者は、建設予定及び建設中の防護柵についての科学的な評価を行うとともに、予防・調整措置により潜在的なリスクを減らすよう提案した。関連する研究成果は短報の形で「サイエンス」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。

防護柵の設置は特定の目的を持つことが多く、その生態プロセス、景観、生物多様性への影響を考慮していない。防護柵の機能と属性は日増しに多様化しており、一部は放牧禁止や退化した草原の回復に用いられている。オーストラリアのディンゴフェンスと中国の退牧還草(放牧禁止)プロジェクトがその例だ。一部の防護柵は国境線となり、移動による進入や疾病の拡散を防止する。論文の筆頭著者兼連絡著者で、同研究所研究員の孫建(スン・ジエン)氏は、「防護柵は絶滅危惧種を効果的に保護でき、生態が脆弱なエリアの保護に適しているものの、生態環境の断片化を招き、動物の渡りと遺伝的交流を阻害し、野生動物を傷つける目に見えない罠になっている」と述べた。

研究によると、防護柵は動物の移動ルートを阻害し、破壊している。例えば南アフリカでは防護柵が有蹄類やヌーなどの渡りをする動物の大きな脅威になっている。生態環境の断片化は気候変動を背景に深刻化しており、生物多様性及び生態系の機能・サービスの悪化をいっそう激化させている。ボツワナでは、防護柵はゾウの自由な活動を妨げており、ゾウがミクロシスチンを大量に含む池の水の飲用を強いられ大量死している。これは主に温暖化により池のシアノバクテリアが大量繁殖し、ミクロシスチンの毒性が強まったためだ。孫氏は、「このことから、特定の種を保護するための防護柵は、その他の種にとっては深刻な阻害と危害になり、さらに現地の生物多様性を脅かすことが分かる」と強調した。

孫氏は、「そのため世界各地にある防護柵プロジェクトの見直しと評価が喫緊の課題になっている。また予防・調整措置を講じ、その潜在的なリスクを減らすべきだ。国境をまたぐ野生動物の渡りのルートを再開放し、そして具体的な状況に基づき建設予定及び建設中の防護柵の必要な科学的評価を行うよう奨励する。不可避な状況下では、一時的な防護柵または通過可能な防護柵は役に立つツールになる可能性があるが、どのようなタイプの防護柵を設置しても生物多様性への長期的な影響を前提条件とするべきだ」と提案した。(提供/人民網日本語版・編集/YF)