飛躍的発展を遂げる朝鮮のSLBM 広がる南北間の技術格差

朝鮮は、すでに米国本土全域を射程内に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有しているが、潜水艦発射弾道弾(SLBM)の技術も飛躍的に向上している。

19日、朝鮮の国防科学院は、最先端の制御誘導技術が導入された新型SLBMの試射を行った。

新型潜水艦発射弾道(SLBM)の試射が行われた。(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

朝鮮は5年前に初のSLBM試射を行った。今回は二年ぶりの試射となる。

2019年10月に試射が行われたのは、SLBM「北極星-3」型。 その後、20年10月に行われた軍事パレードに「3」型より直径が大きい「北極星-4」型が、21年1月に行われたパレードに弾頭部分がより大きくなった「北極星-5」型が登場した。

今回、試射されたのは11日に平壌で開幕した国防発展展覧会で公開された新型SLBMだと推測される。

国防展覧会で演説した金正恩総書記は、「南朝鮮はわれわれの武装力が相手する対象でない」「われわれが南朝鮮を標的にして国防力を強化しているのでない、この地で同じ民族が武力を行使する歴史が二度と繰り返されてはならない」と述べている。

総書記が指摘するように、世界的に「ゲーム・チェンジャー」と呼ばれるSLBMの技術面でも、南北間には格差がある。

南の国防科学研究所は9月15日、SLBMを3千トン級潜水艦「島山 安昌浩」号から水中試射した。当時、南当局は「北の挑発を抑止するのに十分」「世界で5番目にSLBM運用国になった」などと喧伝した。

しかし、今回、新型SLBM試射を行った国防科学院の張昌河院長は「南のSLBMは効率的な軍事的攻撃手段になり得ない」と指摘していた。

張院長によると、南が公開した報道資料と試射場面を検証したところ、それは「確かに、SLBMではなかった」という。

「公開された写真通りなら、典型的な地対地戦術弾道ミサイルの構造と形態を備えており、秘密保持のための意図的な写真加工がなかったとすれば、写真の中のミサイルは水中兵器とは程遠い、簡単に言えば自分の姿を整えていない、どこか出来損ないの兵器に見えた」ということだ。

張院長の次のように説明している。

南で打ち上げられたのは、短距離地対地弾道ミサイル「玄武」系列のミサイルで、噴出火炎の大きさから見て射程500キロメートル未満の戦術弾道ミサイルだと判断される。

戦術級ミサイルは、発射質量が小さいので波や海流、潜水艦の機動速度による影響を受けやすく、深い深度での発射には水中姿勢を維持させるべきであり、それができない場合、水中から出る姿勢角と姿勢角速度変化が大きくなってミサイルの姿勢を維持しがたくなる。

南の試射場面を見ると、水中で能動的な姿勢維持はせず、コールドローンチ(潜水艦の発射管から空気の圧力でミサイルを水の外に押し出した後に空中でエンジンを点火する技術)だけを適用して深度が浅い状態で発射したことが分かる。

水中から出た後、ミサイルのエンジンが点火する時まで姿勢が傾かず、水柱と水付着量が小さいのを見れば、発射深度が非常に浅いこと、作戦機動中の発射ではなく、停止状態、または微速機動時に発射したことが分かる。

これは、SLBMの基本である水中発射技術がまだ完成していないことを示している。張院長はそのように結論付けた。

新型潜水艦発射弾道(SLBM)の試射が行われた。(朝鮮中央通信=朝鮮通信

潜水艦に搭載して発射するSLBMは、複雑な技術を要する文字通りのハイテク兵器システムだ。ただ、地上ミサイルを水面上に押し出して点火させ飛ばしたからといって、それをSLBMとは呼べない。

南の「飛翔体」の欠陥に対する張院長の厳しい指摘は、先進技術を持つ者の自信とプライドの裏返しといえる。

朝鮮の国防科学院が行った今回のSLBM試射は、その技術力の高さを証明した。

新型SLBMには、側面機動および滑空跳躍機動をはじめ多くの進化した制御誘導技術が導入されているという。

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