宮古島汚職で前市長「職務権限ない」「用地決定権は防衛省」 那覇地裁公判

 宮古島市上野野原の陸上自衛隊宮古島駐屯地の用地取得を巡る贈収賄事件で、国への土地売却の便宜を図った見返りに現金600万円を受け取ったとして、収賄罪に問われた前宮古島市長の下地敏彦被告(75)の第4回公判が19日、那覇地裁で開かれた。被告人質問で下地被告は、地元自治体が配備を拒否しても、駐屯地の建設はできるとし「場所の決定権限は防衛省が持っている」と述べ、自身に職務権限はないとの考えを示した。

 検察側は、下地被告が自衛隊施設の受け入れ判断をする職務上の権限を持っていたと主張している。下地被告は2016年6月に市議会で陸自配備計画の受け入れ表明をした。弁護側から受け入れる権限があったかを問われると、「職務権限ではない。防衛省から意見照会があり、市長として、責務というよりは義務のつもりで答えた」と強調した。

 18年5月、東京都内で「千代田カントリークラブ(CC)」の元社長(65)=贈賄罪で有罪確定=から600万円を受け取った際、元社長は「政治資金として活用してください」などと話していたとし、受け入れ表明のお礼だとは言われなかったと主張した。

 受け取った現金は政治資金収支報告書に記載しなかった。小野裕信裁判長から、政治資金は届け出ないといけないとの考えはあったかと問われると「大変申し訳なかった」と謝罪。「記載は事務局長がやってくれるもので、私がやるものではない」とも釈明した。

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