新しい旅のスタイルで注目! 『歩く観光』 旧標津線 奥行臼(おくゆきうす)フットパス散策を体験してみた

「食と観光」をテーマにひがし北海道の話題をお届けしています、松本真実です。

デスティネーションマネージャー(観光創造士)として、その地域にある観光資源を発掘し、観光地域づくりに関係する活動をしています。

令和3年10月10日(日)、別海村営軌道風連廃線50年の節目にあたり、奥行臼(おくゆきうす)散策デーが行われ、早速参加してきました。

【別海町グリーンツーリズムネットワーク(以下GTN)・別海町教育委員会 共催】

ところで、みなさん『旧標津線』をご存じでしょうか?

日本国有鉄道 標津線は、根室原野の開拓と産業の振興を図るため、1933年(昭和8年)12月1日開通。釧網本線から標茶駅で分岐し、根室標津駅に向かう本線。そして途中の中標津駅から分岐し、厚床駅で根室本線に接続する支線となっていました。

支線の旧奥行臼駅には、奥行臼駅逓所・別海村営軌道風連線(1971年-昭和46年廃止)があり、交通拠点として賑わっていたとされます。JR北海道になった翌年、1989年(平成元年)4月30日、標津線は廃線となりました。

さて、この日私は、旧標津線跡を歩く「フットパス」を歩きました。別海町グリーンツーリズムネットワークが維持管理する旧標津線跡フットパスは、町から廃線跡の一部を借りています。

私はじっくりコース(2.7㎞)でしたが、全区間を歩く健脚コース(7.5km)にも多くの方が参加されていました。

集合場所となった、奥行臼から、スタート地点の桜ヶ丘農道までは土日祝・1日2往復の根室交通路線バスで移動。こちらに来てから、満員の路線バスを初めて見ました(笑)。

バス停からスタート地点まで移動し、全員で記念撮影。感染症対策や注意事項などのオリエンテーションがあり、10時からスタートです。

曇り空、少し肌寒さを感じましたが、蚊などの虫もそれほど気になりませんでした。ただ、ガイドさんからは「熊の住処を私たち人間がお邪魔して歩くので、謙虚な気持ちで十分に注意すること」と。熊よけの鈴を鳴らしながら、ゆっくりと歩みを進めていきました。実は初めて見た「熊よけの鈴」です。

まさに自然を歩く・・歩く観光ですね。

気になる植物を見つけては、立ち止まって説明してくださる北方環境研究所の研究員 深津 恵太さん。とても気さくで、参加者を楽しませてくれます。

たとえば、あんなところにキノコが・・とか

足元には、野生の三つ葉が。生い茂って・・・とても美味しそうです(笑)

そして、ふと何気に振り替えると、幻像的な景色がありました。トトロが出てきそう。

2つ目のポイント、保線小屋。

この建物は、旧標津線の保守に関わる方々が、休息所としていたそうです。割れた煙突が残っていますが木造。いくら雪が少ない別海でもかなりの寒さだったのではないでしょうか?

よく見ると落ち葉の中に、北海道最大のカタツムリと言われる体長5㎝程の大きなエゾマイマイが潜んでいました。

3つ目のポイントは、【ヤウシュベツ川に架かる80ⅿ鉄道橋】

今年、地元別海中央中学校の生徒が「ふるさと学習」でこのフットパスを利用することになり、GTNや地元の建設会社が改めて整備を行ったそう。橋の高さがあり、歩く幅のない板を渡るのはなかなか怖い経験。

この上を鉄道が走っていたのだと思うと・・・。

川岸におりて橋を見上げると。これはなんでしょう??

恐る恐る橋の中ほどまで進むと、美しい景色が広がっていました。

じわりじわりと身体中に清らさを巡らせながら深呼吸。

4つ目のポイント【ボックスカルバート】

小さな川にコンクリート製の「ボックスカルバート」が置かれており、その上を汽車が走っていたそう。

川の水が、透き通っています。

「美しいね」

そんな言葉が参加者全員から聞こえてきました。

カルバートを過ぎると、まもなくゴール!

ガイドさんから自然の作りだしたギフトを紹介していただきました。

大きな「ミズナラ」の木。

落雷を受け、人ひとりがすっぽり入れるほどの空洞が出来ていました。根が生きているので外側の樹皮や枝葉は青々と大空に向かって堂々と伸びています。

好奇心旺盛な私は、さっそく中に入ってみました。生命の強さを感じるのはもちろんでしたが、それだけではなくて・・とても温かく包みこんでくれているようでした。

じっくり2.7キロを2時間半で歩く。

そんなにかかるかな?が第一印象でしたが、ゆっくりじっくり歩いてきたからこそ、気づきと学びがありました。ココチよい疲労感、心がずっしりと落ち着いて安定し、とても良い時間を過ごしました。

事前準備や運営いただきました別海町グリーンツーリズムネットワーク、別海町教育委員会の皆様、貴重な体験を体験させていただきありがとうございました。

お疲れ様でした。また、来年笑顔で皆様とお会いしたいです。

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