海防史跡巡るクルーズ 船上見学会事業化へ横須賀市

 東京湾の人工島「第二海堡」や横須賀港周辺の海防史跡を巡る船上見学会の事業化に、横須賀市が乗り出す。好評を博した昨秋の開港150周年イベントを引き継ぐ形で、ことし7月には市民向けのツアーを計画する。旧軍港4市で共同申請中の日本遺産認定事業とも連動し、将来的には「砲台巡りクルーズ」として新たな洋上観光ルートに発展させる構想もある。

 市は昨年11月、国の港湾業務艇を利用した見学会を開催。第二海堡に近づけるほか浦賀水道を往来する大型船を目の当たりにできるとあって、平日開催ながら定員50人に464人の応募があった。乗船者からも継続的な開催を望む声が多かったという。

 同港周辺には猿島や観音崎、千代ケ崎の各砲台跡など明治〜大正期の史跡が多い。広島県呉市などと共同申請した日本遺産認定事業の構成文化財もある。市は、港の歴史をPRする好機と捉え、16年度は民間船を借り上げて見学会を開催する。

 16年度当初予算案に関連経費28万円を計上。海の日にちなんだ7月の市主催イベントに合わせて市内在住、在勤、在学の200人に有料でガイド付きの史跡巡りクルーズ(約1時間20分)を楽しんでもらう計画だ。

 市港湾企画課は「今回も応募が多ければ、回数を増やすなどして発展させたい。市民以外の受け入れも検討し、将来的には新たな観光ルートとして確立できれば」とし、同港周辺の近代化遺産をたどるクルーズとして集客増にもつなげていきたい考えだ。

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