夜型・肩こりで寝付けない…コロナ禍特有の睡眠悩みに効く!生活習慣からの対策とは?

2021年9月16日にニチバンが開催した「自粛痛」と「睡眠」に関するオンラインセミナーでは、快眠セラピストの三橋美穂さんが、コロナ禍特有の睡眠の悩みや、なぜ睡眠の質が下がるのかを詳しく説明しました。さらに、具体的な対策として、コロナ禍のおすすめ快眠ルーティンが発表されました。そこで今回は、その講演の内容の中から、日本人の睡眠実態や、コロナ禍特有の睡眠悩みに効く対策をご紹介します。

■睡眠によくない習慣とは?

コロナ禍になってから、こんなことに心当たりはないでしょうか。

1.就寝 ・起床時刻が日によって違う
2.朝日を浴びずに仕事を始める
3.夕方以降にうたた寝をする
4.食事の時間が日によって違う
5.座位が長く首や肩、腰が凝っている
6.就寝直前まで仕事をしてしまう

これらに一つでもあてはまったら要注意!
三橋さんによると、どれもよい睡眠を得るためには、よくない習慣だといいます。

■「よい睡眠」「わるい睡眠」とは?

そもそも、どういう睡眠が「よい睡眠」で、どういう睡眠が「悪い睡眠」なのでしょうか。

●「よい睡眠」とは

まず、よい睡眠から見ていきましょう。図を見てください。横方向が睡眠時間、縦方向が睡眠の深さを表します。

よい睡眠で、まず訪れるのが「ノンレム睡眠」です。ピンクの印がついているところがレム睡眠です。レム睡眠により、夢を見ながら記憶を整理します。睡眠の後半に明らかに増えていく特徴があります。

一方、レム睡眠以外をノンレム睡眠といい、浅い「うとうと状態」の一段階から、ぐっすり熟睡段階の四段階があります。特に眠りが深いのが三段階と四段階で、この2つの睡眠を合わせたものを「深睡眠(しんすいみん)」と呼びます。大脳を休め、成長ホルモンを分泌させます。疲労回復をはかったり、肌のターンオーバーを促したりする働きのあるホルモンです。

深睡眠というのは寝始めが一番多いです。そしてだんだん眠りが浅くなるというのがよい睡眠のパターンです。

つまり、寝始めにぐっと深い睡眠に入ることができること、そして適度な睡眠時間が取れていること。睡眠の深さと長さのバランスの良い状態が、よい睡眠です。

●「わるい睡眠」とは

次に、わるい睡眠を見てみましょう。まず寝つきに1時間くらいかかっています。寝つきが悪いと眠りが浅くなりますので、深睡眠が減ります。かつ、一晩中、何度も目が覚めています。こんなに7~8回も目が覚めているというのは、非常に睡眠が浅い状態です。レム睡眠も短くなっていますので、記憶の整理も十分できません。

よい睡眠のために目指したいのは、まず寝つきの良さ。寝つきの良さが眠りの質を決めるのです。

●日本人の一日の平均睡眠時間(20歳以上)

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」では、20歳以上の日本人の一日の平均睡眠時間がわかります。男性の働き世代である30~50代は「6時間未満」が45%超であり、5時間半とか5時間とか半数近い結果に。40~50代女性は、6時間未満が45%超でした。

日本人は世界でも、睡眠時間が短い国として知られています。

●睡眠時間が少ないことによる弊害

6時間睡眠を2週間続けると、二晩徹夜と同程度に脳機能は低下するという報告があります。6時間睡眠を続けていると慣れてしまって、自分は充分眠れていると思いがちです。しかし実際、テストしてみると脳機能が低下していることが多いのです。

また、睡眠不足による経済損失も試算されており、日本は年間約15兆円といわれます。

そして、肥満や病気のリスクも上がります。最も肥満のリスクが低いのが、7時間睡眠。高血圧やうつも、7~8時間が最もリスクが低いことがわかっています。

●睡眠時間についてのまとめ

睡眠時間についてまとめると、まず人それぞれ、最適な睡眠時間が違うということ。そして一日7~8時間が最適な人が多いということです。ただし、60歳を過ぎてからは6~7時間が目安です。

自分のベストな睡眠時間は、1週間ごとに睡眠時間(寝床にいる時間)を変えて、日中の体調や気分ではかるとわかります。また、睡眠時間は、短すぎても、長すぎてもダメだというこど覚えておきましょう。

■コロナ禍で注意すべき生活習慣とその対策

コロナ禍では、睡眠の質を下げる生活習慣になりがちといわれます。その注意すべき生活習慣とともに、対策が、三橋さんによって解説されました。

1.日光浴不足

日に当たる時間が少ないと、夜の睡眠のためのメラトニンという睡眠ホルモンが多く作られないので、夜ぐっすり眠れなくなってしまいます。

対策:1日30分以上、日光を浴びること。

2.ON・OFFのメリハリ低下

在宅勤務では、ON・OFFの切り替えがむずかしく、生活が不規則になってしまいます。すると体内時計が乱れ、時差ぼけ状態に。

対策:就寝・起床・食事時間を一定にし、規則正しい生活をすること。

3.夜間の光曝露(PC・スマホなど)

寝る直前まで仕事をしていたり、寝床スマホしていたりすると、体内時計が後ろにずれて夜型化してしまいます。夜型化し、なかなか眠れないと、睡眠時間が減ります。

対策:寝る時間が近づくにつれて照明はどんどん暗めにしていくこと。寝床にスマホは持ち込まないこと。

4.運動不足・活動量低下

身体を動かさないと血行不良になり、睡眠時に欠かせない深部体温低下の妨げに。また長時間の座位で首や肩、腰の痛みにもつななります。

対策:1時間毎に屈伸するなどストレッチをする。痛みに対処する。

■コロナ禍で増した肩こり・首こりに対処して快眠を!

コロナ禍になって、肩こりや首こりがひどくなったと悩んでいませんか? 先にも紹介された通り、睡眠の妨げになるといいます。

ニチバンが2021年8月に20代から60代までの男女500名を対象に実施した「コロナ禍の睡眠の質・悩みに関する調査」では、「コロナ禍で身体の痛みが増えたと感じますか」の問いに対して、全体の29.%が「はい」と回答しました。20代では46.0%と、半数近くの人が痛みが増しています。

具体的な痛みの箇所は「肩」が62.8%、「腰」59.5%、「首」57.4%と続き、痛みが睡眠にも影響していると感じると答えた人は、全体で約8割にも上りました。

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●コロナ禍の環境変化で痛みが増し、睡眠の質を下げさらに悪化!

リモートワークや長時間のPC作業、スマホを見る行為が、肩こりや首こりを生み、睡眠へ影響しているといえます。

肩こりを感じているなら、血行が悪いと思われるため、体温の放熱がうまくいかなくなり、睡眠の質が下がります。また、痛みを抱えていると、眠りづらく寝不足でまた疲れやすく、身体の痛みも消えないとい上悪循環に!
さらに、寝具が合わないと余計に痛みが増すこともあります。

●入眠時の身体の特徴

入眠時の身体の特徴は、筋肉はゆるんでいる、呼吸は深くゆったり、末梢血管は拡張、神経活動はリラックス。この状態を目指すのに、 痛みがあるとむずかしくなってしまいます。

そこで三橋さんは、身体の痛み増しにアプローチする快眠ルーティンの一つとして、肩こり・腰痛などの痛みが強い人は無理せずに痛みを湿布薬などで取り除くことが重要だと話します。

痛みだけでなく、不快感を取り除くことも大切だそうで「痛み、しびれ、かゆみ、暑さ、寒さ、騒音、臭い」なども取り除く必要があるそうです。

そのため、湿布薬は、24時間効き目が継続するタイプやニオイの少ない無臭タイプなどを取り入れることがおすすめだそうでした。

例えば、湿布薬には、今回紹介されたニチバンの、24時間痛みに直接効き、無臭タイプの「ロイヒ膏ロキソプロフェン」のほか、グラクソ・スミスクラインの新製品で鎮痛力、無香性、低刺激の3つを兼ね備えた「ボルタレンテープ ゼロメントール」などがあります。ぜひ自分に合ったものを見つけましょう。

セミナー登壇者(中央が三橋さん)

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コロナ禍で睡眠の質が下がった人は、ぜひこれらの快眠ルーティンを試して、改善してみてくださいね。

【取材協力】

三橋美穂さん
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める 66 の新習慣』(三笠書房)、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー魔法のぐっすり絵本 』(飛鳥新社)はシリーズ累計115万部を突破。監修・開発した『「極」熟睡ワイドまくら premium』(主婦と生活社)も好評。NHK「あさイチ」 TBS 「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。
三橋美穂オフィシャルサイト「スリーピース・カフェ」(https://sleepeace.com/)

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