【衆院選2021】安倍晋三氏、麻生太郎氏、菅直人氏…。総理大臣経験者の得票数を観察する。(データアナリスト・渡邉秀成)

新型コロナウィルス感染症がいつ収束するのかが見えない中、衆議院選挙が第49回衆議院選挙が18日、告示されました。今回の選挙は各政党のこれまでの新型コロナウィルス対策等が、投票先決定に大きな影響を与えそうです。

この衆議院選挙では立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の、野党の候補者一本化による選挙協力でどのような変化が生まれるかも注目です。

小選挙区選挙では各選挙区で当選者が1名ですので、野党で各選挙区における候補者が一本化することができると、
下記グラフからもわかるように、選挙結果にも大きな変化が生まれる可能性があるのです。

→図1、2

今回は総理大臣経験者の各選挙区での得票数の推移について観察します。

総理大臣経験者ともなると衆議院小選挙区においても圧倒的に集票力があるようなイメージがありますが、実際はどうなのかについて過去の選挙結果データから見ていきたいと思います。

総理大臣経験者の得票数の推移を観察することで、その選挙区内における影響力がどのように変化してきているのか、そして野党の候補者一本化による効果がどの程度あるのかについて見えてくるものと思います。

得票数の推移を観察する総理大臣は、安倍晋三衆議院議員(山口4区)、麻生太郎衆議院議員(福岡8区)、菅直人衆議院議員(東京18区)、野田佳彦衆議院議員(千葉4区)、菅義偉衆議院議員(神奈川2区)、岸田文雄衆議院議員(広島1区)です。

なお各選挙区の2021年9月時点での選挙人名簿登録者数は、

山口4区 245,639人
福岡8区 349,974人
神奈川2区 332,877人
広島1区 332,096人
東京18区 446,564人
千葉4区 463,766人

となっています。

データ出所:
山口4区 *[https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a36000/senkyoninmeibo/senkyonin.html](https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a36000/senkyoninmeibo/senkyonin.html)
福岡8区 *[https://www.pref.fukuoka.lg.jp/life/8/62/273/](https://www.pref.fukuoka.lg.jp/life/8/62/273/)
神奈川2区 *[http://www.pref.kanagawa.jp/docs/em7/cnt/f5/p374069.html](http://www.pref.kanagawa.jp/docs/em7/cnt/f5/p374069.html)
広島1区 *[https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/sennkyokannriiinkai/senkyoninmeibo0303.html](https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/sennkyokannriiinkai/senkyoninmeibo0303.html)
東京18区 *[https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/election/senkyoninmeibo/](https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/election/senkyoninmeibo/)
千葉4区 *[https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/senkyoninnmeibo/senkyoninmeibo.html](https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/senkyoninnmeibo/senkyoninmeibo.html)

まず最初に選挙区での各候補者の得票数推移をグラフ化したものが下記になります。
グラフの中にある一桁の数値はそれぞれの選挙時の立候補者数を意味しています。

→図3

それぞれのグラフをを見比べると、多くの場合候補者が多くなると得票数が減る傾向があります。

政権交代選挙と言われる第45回衆議院選挙を見ると当時の民主党議員である菅直人候補者、野田佳彦候補者の得票数が、第44回選挙より伸びていることがわかります。民主党が大きく得票を伸ばしたことがこれらの選挙区からもうかがうことができます。

政権交代選挙と呼ばれる第45回衆議院議員選挙は自由民主党が大きく議席を減らしましたが、福岡8区では麻生太郎候補者が得票数を伸ばしています。

民主党に追い風が吹く選挙であっても、得票数を伸ばした自由民主党候補者もいたことがわかります。

上記グラフは内閣総理大臣経験を持つ国会議員の小選挙区での得票数の推移でしたが、各選挙区での得票率もグラフ化してみました。青色の横線は得票率が50%を示しています。

→図4

得票率でのグラフを見ると、直近選挙で7割程度の得票率を獲得している首相経験者も、小選挙区制度が始まった段階では、得票率が50%くらいであることがわかります。

次に、選挙で当選した際に次点の候補者との得票数についてもグラフ化してみました。どの程度の得票差をつけて当選しているのかを観察したいためです。

→図5

グラフを見ると安倍晋三候補者、麻生太郎候補者は直近選挙でみると8万票以上の得票差をつけて当選していることがわかります。選挙人登録者数が山口4区では24万人、福岡8区では34万人であることを考えると、2位以下に大きく票差をつけて安定的に当選していることがわかります。その一方、菅義偉候補者、菅直人候補者、野田佳彦候補者について見てみると、僅差で当選している選挙があることがわかります。

当選回数を重ねている国会議員は選挙でも圧勝しているイメージがありますが、一つ一つの選挙結果を観察していくと、僅差で選挙を制してきた場合もあることがわかります。

特に政権交代選挙等、特定の政党等に追い風が吹いている状況がある場合等には選挙に強いと言われる候補者でも、
当選が微妙な場合が出てくるようです。

2020年はじめから続く新型コロナウィルス対策、公文書関係、年金問題、消費税問題等、投票する際には考えることがたくさんあると思いますが、各政党、候補者が実際に話していることと、実際に行動したことが一致しているかどうかきちんと見極めた上で、今回の第49回衆議院選挙に投票してみてはいかがでしょうか。

今回は首相経験者の小選挙区における得票数の変化について見てきました。

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