「親しき仲にも礼儀あり」の意味は? 使い方や類語を解説

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「親しき仲にも礼儀あり」ということわざがありますが、意味や正しい使い方を知っていますか?

ここでは、自信を持って「親しき仲にも礼儀あり」を使えるように、言葉の意味やどのように使うかついて確認してみましょう。

■「親しき仲にも礼儀あり」の意味と語源

まずは「親しき中にも礼儀あり」の意味と、言葉の由来を確認しましょう。

◇「親しき仲にも礼儀あり」の意味

「親しき仲にも礼儀あり」を辞書で調べてみると、下記のような記載があります。

親しき仲にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり)親密過ぎて節度を失うのは不和のもとだから、親密な中にも礼儀を守るようにせよ。近しき仲に礼儀あり。「親しき仲に垣(かき)をせよ」も同義。(『広辞苑 第七版』岩波書店)

つまり、「親しい関係になると相手に対する緊張感がなくなり、遠慮のない言動で仲が悪くなる可能性があるから、良い関係を保つために相手への配慮が大切である」という意味です。

この「親しい仲」には友人・恋人・家族だけでなく、職場の上司、先輩など目上の立場の人も含みます。

また、「親しき仲」は「親しき中」とも書きます。

「仲」は「人と人の間柄」を意味するのに対して、「中」は「ある範囲の内側、モノとモノの間」を意味し、「仲」より広範囲で使うことができます。

◇「親しき仲にも礼儀あり」の語源

言葉の正確な由来は不明ですが、古代中国の思想家である孔子と弟の言行を記録した『論語』に礼儀の大切さを説いた教えがあり、これを起源とする説があります。

また、英語にも「A hedge between keeps friendship green(間に垣根があることが友情を新鮮に保つ)」という同じ意味を持つことわざがあります。

「親しき仲にも礼儀あり」は、時代や国を超えて伝わっている人生訓ともいえます。

■「親しき仲にも礼儀あり」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

「親しき仲にも礼儀あり」の使い方を、状況別に例文で見ていきましょう。

◇自分の意思を表現する時

「親しき仲にも礼儀あり」は、人間関係を良好に保つために、「良い関係でも度をすぎて礼儀を欠くようなことをしないようにする」という自分の意思を表現する時に使えます。

☆例文

例えば、仲の良い職場の先輩からあいさつの仕方の指摘を受けて、反省の気持ちを伝える場面では、以下のように用いることができます。

*今後は、ご指摘いただいた「親しき仲にも礼儀あり」という言葉を忘れないよう、自分からきちんとあいさつをするように気をつけます。*

☆例文

学生時代の恩師に、謙虚な気持ちを込めて結婚報告をする時は、下記のように使えます。*親しき仲にも礼儀ありという気持ちを大切に、良いパートナーシップを築いていきたいと思います。*

◇相手に注意をする時

「親しき仲にも礼儀あり」は、親しいからといって礼儀を欠いている人への注意の言葉としても使用できます。

☆例文

無断で私物を使用した妹へ、不快であることを伝える時には下記のように表現できます。

*いくら姉妹でも「親しき仲にも礼儀あり」というでしょう?無断で私の物を使わないでくれる?*

☆例文

内密にしていた個人情報を第三者に暴露した親友に、失望した気持ちを伝える時は下記のように用います。

*○○さんを信頼していたのに残念。「親しき仲にも礼儀あり」とはこういうことを言うんだと思う。*

■「親しき仲にも礼儀あり」の類語(例文つき)

「親しき仲にも礼儀あり」の類語や言い換え表現としては、下記のようなものがあります。

◇「思う仲(中)には垣(かき)をせよ」

「垣」とは、区画を区切る仕切りや囲いなど間を隔てるもので、「垣をせよ」とは「節度を守りなさい」という例え。

「良い仲には垣をせよ」「親しき仲に垣をせよ」「近しき仲にも垣を結え」とも言います。

相手のことにあまり口を挟むことなく、相手の自由を尊重しなければならないというニュアンスがあります。

これは交際中のカップルや、夫婦へのアドバイスに使える表現でもあります。

☆例文

結婚式を挙げた新郎新婦に対して、披露宴での祝辞スピーチをする場面では、下記のように用いることができます。

*これから夫婦として末長く仲良く過ごしていくための秘訣として、「思う仲には垣をせよ」ということわざがあります。*

◇「良い仲(中)にも笠(かさ)を脱げ」

「笠」は帽子のことで、あいさつをする時には帽子を脱ぐのが礼儀ということから、「親しい仲でも礼儀を忘れてはいけない」という意味を表しています。

「親しい関係でも礼儀を尽くす」という意味から、職場や友人関係とのマナーの重要性を喚起するニュアンスを伝えることができます。

☆例文

ビジネスマナーが苦手な新人に対して指導する時は、下記のように言うことができます。

*○○さん、「良い仲にも傘を脱げ」ということわざを知っている?お客さまに対してだけでなく、皆が気持ち良く仕事をするために職場内でもマナーを守ることが大切だよ。*

◇「心安きは不和の基(こころやすきはふわのもと)」

「心安き」とは親しくて遠慮がない様子。「不和」とは仲が悪いこと。

「基」は物事の起こりで、「あまりに親しくなりすぎるのは、かえって仲が悪くなる原因になる」という意味です。

☆例文

就活の面接で「職場生活で大切だと思うことは?」という質問に答える場面で、以下のように用いることができます。

*前職での経験から、「心安きは不和の基」のことわざにあるように、適度な距離感を持ってプロ意識で臨むことが大切だと考えています。*

■「親しき仲にも礼儀あり」の対義語(例文つき)

「親しき仲にも礼儀あり」の対義語としては、下記の表現があります。

◇「礼も過ぎれば無礼となる」

「度が過ぎた礼儀はかえって失礼」という意味。

過度の敬語を使うなど、度がすぎた礼儀は相手のご機嫌取りや、お世辞を言っていると受け取られる可能性があります。

☆例文

お客さまに対して、過度な言葉遣いをする後輩に対して指導する時に、下記のように使うことができます。

*・丁寧に対応したいという気持ちはわかるけど、「例も過ぎれば無礼となる」っていうでしょう?お客さまに合わせた対応をすることが大切よ。*

◇「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」

「慇懃」は非常に丁寧であることを表します。

「慇懃無礼」は、「言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって無礼であるさま」を表しています。

また、「うわべは大変礼儀正しいが、実は尊大で相手を見下げている」という意味もあります。

☆例文

「礼を過ぎれば無礼となる」と指導を受けて、先輩への返事をする場合に下記のように使うことができます

*・私としては、どなたにも丁寧な対応をすることが大切と考えていたのですが、確かにお客さまによっては、慇懃無礼な態度と取られたのかもしれません。*

□現代こそ大事にしたい「親しき仲にも礼儀あり」の教え

「親しき仲にも礼儀あり」の意味は、「親しい間柄だと気が緩んで不和の原因になる可能性があるから、相手への心遣いが必要」ということでした。

この意識は過去の賢人からの教えとしてだけでなく、価値観が多様化している現代だからこそ、お互いに大切にしたいですね。

(大部美知子)

※画像はイメージです