選挙カーで「バス」はダメ?!選挙のさらに不思議なルール5選

10月19日に衆議院選挙が公示され、31日に投票が行われます。選挙には様々なルールがあり、先日、「選挙カーならぬ「選挙船」はOK? 選挙のぶっちゃけ意味不明なルール5選」という記事でも紹介されたように変わったルールもあります。今回はこれとは別に選挙のちょっと変わったルールをいくつか紹介します。

1位でも当選できないことがある

得票数1位になれば当選できると誰もが思いがちですが、実は得票数1位でも当選できないことがあります。公職選挙法第95条には当選するためには一定の割合の票を得る必要があることを規定しています。これは選挙によって異なりますが、例えば衆議院選の選挙区では有効投票総数の1/6以上、つまり、約16.7%以上の得票をすることができないと、1位になっても当選することはできません。

もし、衆議院選の選挙区で誰一人として有効投票総数の1/6以上得票できないと当選者無しとなり、この選挙結果に対して異議申立や訴訟が行われなかった場合、40日以内に再選挙を行うことになっています。この再選挙は上位候補者の決選投票という形ではなく、誰でも立候補できるので、また誰も有効投票総数の1/6以上得票できず、再々選挙になる可能性を秘めていたりします。
ちなみに知事選や区市町村長選といった首長選でのこのような再選挙の事例については、「1位になっても当選できないことがある?!これまで再選挙になった首長選」で紹介しています。

バスはダメ?選挙カーの面白いルール

選挙運動に使う車を一般的に選挙カーと呼びますが、この選挙カーにも様々なルールがあります。例えば、選挙カーとして使う車は何でもいいというわけではありません。公職選挙法施行令第109条の3には選挙運動のために使用できる自動車というものが規定されており、そこには乗車定員10人以下の乗用自動車または四輪駆動式の自動車で車両重量2トン以下のもので、いずれもオープンカーのような構造のものは除くと規定されています(四輪駆動式で2トン以上でも乗車定員10人以下であれば可)。つまり、オープンカーや何十人も乗れる大型バスを選挙カーとして使うことは認められていません。また、乗車できる人数も制限があります。公職選挙法第141条の2では選挙カーは候補者と運転手以外は4人まで、つまり合計6人までしか乗ることができないことが規定されています

このほか、道路交通法施行令第26条の3の2で選挙カーに乗っている人はシートベルトを着用しなくてもよいことが認められているほか、各都道府県によって細かいところは異なりますが、条件付きで駐車違反が免除されることもあります。

おやつは500円まで

小学校の遠足ではおやつの金額に制限があることがしばしばありますが、選挙でもこのような制限があります。それは選挙運動の運動員に対する食事などで、候補者は運動員に無制限に食事やおやつを支給することはできません。これは無制限に出すことができると、食事を提供するという名目で買収をすることができるからです。

公職選挙法施行令第129条には運動員などに弁当や茶菓(おやつ)をいくらまで出すことができるかということが規定されています。ここでは弁当は1食1000円、1日で3000円までと規定されています。また、茶菓は1日500円までと定められています。たとえ、運動員がとても頑張ったからということであっても、高級な弁当やおやつを用意するのは選挙違反になるのです。

最初の人は空であることを確認する。投票箱の面白いルール

選挙の重要な道具として投票箱がありますが、これについてもルールがあります。有名なところはいわゆる「零票確認」と呼ばれるもので、公職選挙法施行令第34条に「投票管理者は、選挙人が投票をする前に、投票所内にいる選挙人の面前で投票箱を開き、その中に何も入つていないことを示さなければならない。」と規定されているものです。つまり、投票所に一番乗りした人は投票箱の中身が空であり、正規でない投票用紙が入っていないことを確認してから投票することになります。

また、投票箱も公職選挙法施行令第33条でできる限り堅牢な構造にすることやふたにつける錠も異なった二つ以上の錠を付けることを規定し、不正が行われないようにしています。

投票所に持っていってはいけないものは

投票所入場券を無くしても投票所で本人確認ができれば投票ができます。投票所に投票に行くには特に大きな持ち物は必要ありませんが、一方で投票所に持っていってはいけないものというのが公職選挙法第232条で規定されています。この持っていってはいけないものというのは「銃砲、刀剣、こん棒その他人を殺傷するに足るべき物件」と規定されています。この銃砲、刀剣、こん棒などをを持って投票所に入ると三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処される上に第233条でこの銃砲や刀剣、こん棒などは没収されることが規定されています(なお、投票所以外でも開票所や選挙会場に持ち込むことも同様の刑罰を受けます)。

また、投票所への持ち込みだけではなく、「銃砲、刀剣、こん棒その他人を殺傷するに足るべき物件」については選挙に関して携帯した場合でも罪になり、この場合は二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処され、物件は没収されることが規定されています。選挙において暴力を用いようとするのは選挙の公正さを損なう重大な罪となるのです。

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