【高校発・みやざきSDGs】ー32ー宮崎西(上) 興味や関心の種開放

実験室でミズナの生育状況を観察する生徒

 「未知の我を求めて」のスローガンのもと、宮崎西高校・付属中学校は、2021年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校となっている。本校SSHの特徴は、全国でも珍しい「一人一研究」で、生徒一人一人が自ら設定した問いに対し研究を行うもので、生徒の個性が発揮されたバラエティー豊かな内容となる。本校の持続可能な開発のための教育(ESD)に対する基本方針は「SDGs課題解決研究は生徒自身の興味が源泉であるべき」である。SDGs課題解決に向けての収束思考ではなく、一人一人の興味・関心の種を開放し、発散思考でSDGsに向かうことこそ、予測困難な時代である現代社会における課題解決につながると考えている。
 本校のESD実践例として、福島古都乃さん=理数科=の研究を紹介したい。英語の授業で、汚い水をきれいにする商品開発の話を学んだことがきっかけとなり、テーマに「廃棄物で保水するには~アフリカの水不足を救う~」を設定した。研究では「アフリカでは高価な吸水ポリマーの代わりに、廃棄物の果物の皮を用いて保水できる物質を作り、干ばつを改善できる」という仮説を立て、地道に実験を継続した。この研究を通して福島さんは、社会のどこかで困難に直面している人への意識が高まり、将来の夢が「宮崎の医療格差を改善する医師になる」と明確になった。このように本校のESDは、生徒一人一人の興味がおのずとSDGsに向かう学びとなっている。(指導教諭・東口匡樹)

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