引退の亀井は「守り神」「困った時の亀ちゃん」 巨人・原監督が送った労いの言葉

サプライズで亀井(左)に花束を贈呈する巨人・原辰徳監督【写真:編集部】

23日の本拠地・ヤクルト戦後には引退セレモニーを行う

現役生活17年の幕を閉じる巨人の亀井善行外野手の引退会見が21日、都内ホテルで行われた。会見の最後、花束贈呈には巨人・原監督と阿部作戦コーチが“サプライズ”で登場する場面があった。指揮官は労いの言葉をかけ、ともに戦い世界一となった2009年の侍ジャパン、WBCの秘話を披露した。

亀井は股関節の怪我などが理由で引退を5月に決断したことを明かし、原監督らには9月に報告していたという。チームメートやファンへの感謝を述べた会見が終わり、最後に“恩人”でもある2人が姿を見せると亀井の目は赤くなっていった。

約10日前に引退の報告を受けた時、指揮官は「『もっとできたな、亀ちゃん』と2人で苦笑いしたことが最後の会話だったかな」とその時のやりとりをまず明かした。そして日本中が盛り上がった2009年の侍ジャパンのメンバー選考時のエピソードを披露し、亀井が残した功績を称えた。

「2009年のWBCで、一番最初にメンバーを決めたのは亀井、片岡(治大=現巨人2軍内野守備コーチ)、川崎(宗則=現・栃木BC)の3名でした。混成チームを作る上で、最も重要なのはサブプレーヤーの存在だった」と当時、主軸を担った選手よりも控えを重要視。亀井と“走塁のスペシャリスト”として活躍した鈴木尚広氏と迷ったという。鈴木氏は「怪我がちだった」ため、「柔軟性と順応力で亀井」を選んだという。

“困った時の亀井頼み”はまだまだ続く

そして「イチローのそばにいながら、勉強になったのでしょう。侍でもいい役割をしてくれました。帰ってきたら大ブレーク。高橋由伸と双璧になるような選手ができた」とキャリアハイの134試合、25本塁打でチームの日本一に貢献した活躍を喜んだ。その後は怪我や補強などで、亀井自身が満足いくパフォーマンスを発揮できなかったが、原監督は「第3次政権ではベテランとして、お手本になっていた。よき相談相手にもなっていると聞いた」と心強かった。

高橋由伸氏の引退以降、勝負所の代打や時にはスタメンとして存在感を発揮してきた。今年の開幕戦の代打サヨナラ弾も見事だった。2年目の2006年から原監督の期待に亀井は応えてきた。

「『困った時の亀井頼み』、ジャイアンツの“守り神”。そういう、“カメ”が引退をする。ジャイアンツの生粋、燦然と輝くキャリアでユニホームを脱ぐことは巨人の先輩として、うれしく思います。ですが、まだ戦いは残っている。(阪神戦での)死球で完璧じゃないけど、『困った時の亀ちゃん頼み』は卒業しない」

チームはまだCS出場の可能性が残っている。阿部作戦コーチも「下克上で日本一を目指していく」と期待しており、まだまだ亀井の力が必要だ。23日の本拠地最終戦のヤクルト戦(東京ドーム)後には引退セレモニーを行う予定。ファンと共有する時間をエネルギーに変えて、優秀の美を飾る。生え抜きの人気選手の引退は寂しい。だが、まだまだファンと歩む時間は終わらない。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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