柄本明, 花總まり etc出演!古き良き日本を描いた名作『本日も休診』製作発表会レポ

『本日も休診』が11月12日に明治座にて開幕する。実在した医師 見川鯛山による人気エッセイ『田舎医者』シリーズを下敷きに書き下ろす新作舞台、主演の見川鯛山役に柄本明、妻・テル子役は花總まり。

原作者の見川鯛山(1916年〜2005年)は、本名は見川泰山で栃木県植野村(現 佐野市)出身で、60年以上にわたって地域医療に従事する傍ら、那須の風土に根ざした小説や随筆を執筆。伊藤雄之助主演で『田舎医者』(1965年)が、『天山先生本日も多忙』(1979年)が森繁久彌主演がテレビドラマ化。また、『山医者がんばる』(1989年)が NHKラジオ「日曜名作座」で森繁久彌、加藤道子、出演で。そこから年月を経て今回の『本日も休診』の舞台化である。
昭和40年代の那須を背景に、個性豊かな登場人物たちの交流をユーモラスに描くこの作品、見川鯛山役に柄本明、その妻 テル子役に花總まり、村の警察官 茶畠巡査役に笹野高史、ホテルの主人 楠田役には佐藤B作といった万全かつ実力俳優陣が顔を揃った。脚本は水谷龍二、演出はラサール石井。

都内にて製作発表会が行われた。
登壇したのは柄本明、花總まり、佐藤B作、笹野高史、そして演出のラサール石井。

ラサール石井「柄本さんからご指名いただきました。まるで大河ドラマの発表のような豪華なキャストで!学生時代は東京乾電池や自由劇場を観てて、憧れてました、まさかご一緒できるとは!ここでは一輪の可憐な花のような花總まりさん。その周りで、おじさんたち…いや、おじいさんたちが頑張っています(笑)、まるで『白雪姫と七人の小人』です。面白くなるのは間違いないです!稽古では…泣きそうになりました。全員が劇団員みたいな…通したらやばい!と言われそう。一生懸命頑張って仕上げたい」

柄本明「素敵なキャストさんが集まりました。笹野高史さん、佐藤B作さん、同窓会みたい!花總まりさんは初めてですが、マスク取ったら『宝塚だ!』。一生懸命やります。…診療所も行ってみました。昔、森繁久彌さんがやってらした。人間を俯瞰してみている原作で、ゆったりとしたお話です」

花總まり「大先輩に囲まれて緊張しています。お稽古場でも緊張しています。靴を脱いでお芝居するのは新鮮です。役柄的は、包み込む感じで、なんでも『はいはい』と」

笹野高史「出演者の平均年齢は70近いのでは?かつてない安心感と癒しと…50年前に知り合った人たちと…柄本さん、ありがとうございます。B作さん、よろしくおねがいいたします。夢のようで…年寄りばかりの芝居も面白い。みんな、揃ってる!『白雪姫と七人の小人』っていうのは解りやすい。生きててよかった(笑)」

佐藤B作「20代後半から自由劇場で…今回、明治座ですごいなと。こんなチャンスは最初で最後。楽しみにしていることですか?どこでアドリブ入れようか(笑)、それがほのかな楽しみです」

座長の柄本明、笹野高史、佐藤B作は1970年代、同じ自由劇場の仲間同士。自由劇場は1966年に結成されたが、1971年解散。1975年にオンシアター自由劇場として旗揚げ、主宰者は串田和美。笹野高史は在学中の1968年に自由劇場にスタッフとして入団、1972年に『ヴォイツェク』で初舞台を踏み、俳優活動を開始、1979年の舞台『上海バンスキング』のバクマツ役で注目された。また柄本明は1976年に自由劇場を退団し、綾田俊樹、ベンガルと東京乾電池を結成。佐藤B作は自由劇場に音声を担当する裏方として出入りするようになり、1973年に劇団東京ヴォードヴィルショーを結成、現在も座長を務めている。つまり、50年近くの長きにわたっての演劇仲間であり、戦友でもある。柄本明は「本当に戦友。舞台の初日なんかね、セリフ言ったら泣いちゃうかもしれませんね」としみじみ。笹野高史も「年を取ると涙もろくなっちゃってね…全く同じ気持ち。一緒に稽古場に立っていられるのがありがたいです」と語り、佐藤B作も「いい時代だったな、みんな今日まで演劇人として生きてこられたのがうれしい。一緒に芝居を作る関係になった、大いに楽しんでやりたいです」と語る。そばで聞いていた花總まりは「語らずとも、お互いがお互いを分かり合えてる、リスペクトしていらっしゃる、本当に素晴らしい、羨ましいです」と言い、さらに「みなさん、幅広い世界でやっていらっしゃる、稽古場では食い入るように見ています」と語る。確かに平均年齢は高そう(笑)だが、結束の固さもかなり高そう。

また稽古場ではもちろんマスク着用だが、昨今は2重マスクが良いとされているので、皆、二重に。柄本明は「マスク2枚でセリフを言うのはしんどい」と昨今の”あるある”を。佐藤B作は「稽古場は大変、新しい芝居を作るのは大変なことばかり、マスクはしょうがないです。観て明日も元気になれるような芝居を!」と意気込んだ。花總まりも「二重マスクは確かに息苦しいですが、今日、初めてマスク取って『あ、こういう顔だったんだ』って(笑)」と、これもマスク”あるある”。
またラサール石井から、”お楽しみポイント”が…「今回、花總さんには少し歌っていただきますし、柄本さん、B作さん、笹野さんには踊っていただきます。お楽しみに!」ここは要注目。
最後に座長の柄本明が「昭和40年代の高度経済成長期の、日本がガチャガチャしていた時代のお話ですが、都会から少し離れたのんびりした村が舞台です。今はコロナも含め、せわしない時代ですが、ゆったりした時間をお客様に堪能していただけたら」
と締めて会見は終了した。

<物語>
時は昭和、高度経済成長期の頃。那須高原のてっぺんにある診療所には今日も「本日休診」の札が下がっている。
診療所の主は見川鯛山センセイ。時々コワいがとびきり美人な年下の奥さん・テル子に支えられ、医療に身を捧げ…てはいない。釣り好きで本業なんかそっちのけ、喧嘩友達の茶畠巡査たちにはヤブ医者と馬鹿にされている。
一方、診療所に集まるのはお調子者のホテルの主人・楠田や変わり者の農家・蚕吉などベテラン看護婦の宮本さんも手を焼くおかしな連中ばかり。
田植えの季節、若い柴田巡査が駐在所に赴任し、東京から来た香織も診療所の仲間に加わった。田舎の町にも新しい風が吹き、やがて夏へ、秋から冬へ。次々起こる騒動の中、センセイは那須の大自然のように人々に寄り添う…。

<概要>
日程・会場:2021年11月12日〜11月28日 明治座
脚本:水谷龍二
演出:ラサール石井
美術:堀尾幸男
音楽:玉麻尚一
[配役]
見川鯛山:柄本明、
テル子:花總まり
柴田航平巡査:渡辺大輔
松本香織:能條愛未・中島早貴(Wキャスト)
村の警察官・茶畠清巡査:笹野高史
ホテルの主人・楠田:佐藤B作
看護婦・宮本さん:松金よね子
蚕吉:ベンガル
村の警察官・茶畠巡査:笹野高史

制作:佐藤 駿
プロデューサー:渡邊俊也
企画・製作:明治座
公式HP:https://www.honjitsumokyushin.com

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