小田原の無許可盛り土、行政指導 神奈川県など土砂撤去求め

現在はブルーシートに覆われている無許可で盛り土が行われた農地=小田原市内

 小田原市内の農地に無許可で盛り土が行われていた問題を巡り、神奈川県と市農業委員会が土砂を搬入していた市内の業者に土砂の撤去を求めて行政指導を行っていたことが21日、分かった。両者の指導はいずれも18日付。盛り土は、今年7月の静岡県熱海市伊豆山の大規模土石流で不適切な盛り土を行っていた不動産会社の元経営者が関与していたとされる。

 県などによると、無許可で盛り土をしていたのは農地に隣接する体験農園の運営会社。県は県土砂適正処理条例違反で同社に、小田原市は農地法違反として同社と農地の地権者に対してそれぞれ、土砂の搬出による原状回復を求める文書を送付。是正に向け早期の計画書提出も求めている。

 盛り土を巡っては1月以降、同社が荒廃農地約2100平方メートルを再利用するために土砂を埋め立てたが、無許可だった。地権者は土砂搬入を知らされていなかったという。同社は昨年9月に登記され、伊豆山の土石流現場で起点となる土地を2011年まで所有していた不動産管理会社(清算、同市)の元社長の男性が代表として就任した。

 伊豆山の土石流では11年当時、熱海市が不適切な盛り土を認識しながら行政命令を見送っていたことが分かっている。

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