【韓国】初の国産ロケット打ち上げ[製造]

衛星の軌道投入には失敗

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羅老宇宙センターから打ち上げられたヌリ号(韓国航空宇宙研究院提供)

韓国が独自開発した国産ロケット「ヌリ号」が21日午後5時、南西部全羅南道高興郡の羅老宇宙センターから初めて打ち上げられた。搭載したダミー衛星の分離に成功したものの、目標としていた衛星軌道への投入はならなかった。韓国政府は早期にその原因を究明し、2022年5月を予定している2回目の打ち上げ実験での成功を目指す。

ヌリ号は全長47.2メートル、総重量200トンの3段式で、液体燃料を使用した。21日の打ち上げでは◇1段目のエンジンの点火◇離陸◇1段目のエンジンの燃焼と1段目の分離◇「フェアリング」と呼ばれる人工衛星を覆う先端のカバー部品の分離◇2段目のエンジンの点火と燃焼◇2段目の分離◇3段目のエンジンの点火と燃焼——までは順調だった。

しかし、3段目のエンジンの燃焼が予定より早い段階で終了。ダミー衛星が分離されて目標としていた700キロメートルの高度には到達したものの、7.5キロ毎秒の速度には及ばず、地球低軌道には投入できなかった。

韓国航空宇宙研究院は打ち上げ後のブリーフィングで、「3段目の7トンの液体エンジンの燃焼時間が、目標の521秒に届かず475秒で終了した」と説明した。

今回の打ち上げに成功すれば、韓国は日米などと並んで重量1トン以上の実用衛星を自力で打ち上げられる世界で7番目の国となるはずだった。

韓国科学技術情報通信省は、航空宇宙研究院の研究者と外部の専門家からなる「発射調査委員会」をすぐに立ち上げ、3段目のエンジンの早期終了の原因究明を行う。来年5月に予定している2度目の打ち上げには、万全な状態で臨む構えだ。

■韓国企業300社が参画

13年に打ち上げに成功した羅老号はロシアが開発を主導したが、ヌリ号は約12年をかけて韓国が独自開発。設計から製造、試験、発射に至るまでの全工程を国内技術で行った。

ヌリ号の総事業費は1兆9,572億ウォン(約1,890億円)で、韓国航空宇宙産業(KAI)などプロジェクトに参画した韓国企業約300社が予算の8割を執行した。

エンジンの組み立て業務は、ハンファエアロスペースが総括した。特に1段目の75トン級エンジンは、4基のエンジンが同時に点火して1つのエンジンのように作動させる「クラスタリング(束ね)技術」を適用し、計300トンの推進力を出すことに成功した。同技術の国内の発射体への適用は、今回が初めてだ。

ヌリ号の推進剤には、液体酸素と灯油(ケロシン)が使われた。酸化剤タンクに入っている液体酸素と燃料タンクに入っている灯油を吸い込むターボポンプは、ハンファエアロスペースなどが製作した。

ターボポンプが吸い込んだ燃料と酸化剤は自動車のシリンダー役を果たす燃焼機で爆発が起きる。燃焼機を作ったのはネオスペックなどで、タンクと胴体の開発にはKAIと斗源重工業が参画した。

また、バルブや点火器、配管などエンジンに動力・酸化剤を供給する各種部品は、三養化学など7社が関わった。

■宇宙産業に本格進出へ

ヌリ号の打ち上げは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領もその様子を見守った。文大統領は2回目の打ち上げ実験について「必ず完璧な成功を収める。大韓民国宇宙時代は目の前に近づいている」と関係者を激励。さらに、固体燃料ロケットの開発など、宇宙産業への本格進出にも強い意欲を示した。

韓国のミサイル開発を制限してきた米韓の指針が5月に解除されたことで、液体燃料より設計が簡単で取り扱いやすい固体燃料ロケットの独自開発が可能になった。24年をめどに打ち上げを行う予定だ。

韓国は、米国が主導する月や火星などの宇宙探査や宇宙利用に関する基本原則を定めた国際的な合意「アルテミス合意」に署名。これにより、韓国の民間企業が国際宇宙開発計画に参加する道が開かれた。将来的には、現代自動車による探査ロボットや月面探査車事業進出もあり得る。

来年からは、韓国独自の衛星測位システム開発が本格化する。アルテミス合意の下、米国も協力する予定だ。