イマサが放った会心の一撃!バービーボーイズ「LISTEN!BARBEE BOYS 4」  BOØWYと並走した80年代ニッポンのロックバンド

大人の世界を教えてくれた? バービーボーイズとの出会い

自分にとってバービーボーイズとの初めての出会いは、小学校6年生の時に、たまたま夜中に流れていた「でも!? しょうがない」のビデオクリップだ。後に放送禁止になる、男女の指がXXXをし始めるMVは、まだ12歳の少年にはかなり刺激が強く、淫靡な大人の世界を知ったようですごく興奮したものだった。

それはちょうど、公園に落ちているシワくちゃになったエロ本を見つけた気分で、興味をそそられるも、じっくり見ちゃイケナイ物のようで、ドキドキが止まらなかったのを覚えている。

その後「チャンス到来」「負けるもんか」とシングルリリースが続き、雑誌『PATi PATi』などでの露出も増えていき、周りの友人たちにも認知が拡がっていき話題になる機会も多くなった。

ちなみに思春期になったばかりの男子には、曲もさることながら、ヴォーカルの杏子から溢れる “年上の女性の魅力” に惹かれた者も多かった。それまで同世代の女の子にしか興味がなかった男子中学生にとって、大人の色香を振りまくその姿は、ある種セックスシンボルとも言える存在でもあったのだ。

人気ワンランクアップ!「LISTEN! BARBEE BOYS 4」

そして5枚目のシングル「なんだったんだ? 7DAYS」の頃には、男女ツインボーカルという希少性もあり、メディアでの露出も増え、バービーの人気・注目度が高まっているのは肌で感じられた。

それでもまだ自分には、その存在は “公園のエロ本” から “青年誌の袋とじ” に変わったような感じでしかなかった。中学1年の男子には「バービーが好きだ」ということをクラスの女子に公言するには、少しハードルが高かったのだ。それは、

「下心があるんじゃないの?」 「この人ホントはHなんじゃ…」

なんて思われるんじゃないかというリスクがあるように感じたのだ。

ブレイクは間もなくという空気だったが、まだ老若男女に支持されるようなビッグアーティストにはあと一歩という印象だった。

そんな時期に、満を持してリリースされたのが『LISTEN! BARBEE BOYS 4』である。

アサヒ飲料「三ツ矢フルーツ」のCMタイアップ曲だった「女ぎつねon the Run」の他にも「ごめんなさい」そして「泣いたままでlisten to me」と3曲もシングルカットされることになったこのアルバムは、オリコンチャート2位にまで駆け上がり、バービー人気をワンランク上に引き上げるキッカケになった。

それまでのエロスがマイルドになった?

シングル曲が多くて当時もよく聴いていたのだが、今改めて聴いてみると、イマサがまさに売れんがために狙ってつくったアルバムのような気がしてならない。

どの曲も、KONTAと杏子の絶妙な掛け合いが続き、イマサ独特のギターフレーズが散りばめられ、大衆が求める “BARBEE BOYS像” を見事なまでに表現した聴きやすいアルバムだ。しかしフラットに聴いてみると、悪く言えば似たような曲が多く、前作までよりバラエティに富んでいないように感じ、そして何より “エロス” がマイルドになったように感じられた。

ここでようやく、自分にとってバービーボーイズは人目を憚るいかがわしいものではなく、週刊誌のグラビアのような “健康的なお色気” という存在に変わったのだった。

周辺の高すぎる期待に見事なまでに応えた会心のアルバム

このアルバム以降、バービー人気は拍車がかかり、ちょうどリリースから1年後の1988年8月22日には東京ドーム公演を行うまでに登りつめる。そう考えると、この『LISTEN!』は、周囲の高すぎる期待に見事なまでに応えた、イマサそしてメンバーにとって、まさに会心の一撃といえる作品だと言えるのではないだろうか。

余談だが、中学生当時、バービーの詩で描かれる大人の恋愛群青はまだまだよくわからないものだったけれど、きっとこういう恋愛も経験するんだろうなと知らずしらずの内に刷り込まれていたのかもしれない。

その“二股” “寝取り” なんでもありのバービーの歌詞の倫理観が心の奥底にあるが故に、不倫やパパ活などの中心が我々アラフィフ世代なんじゃないだろうかと思ったりしている(笑)。

カタリベ: タナカマサノリ

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