フジ秋元優里P「これまでにないドラマ」 ドイツ共同製作『THE WINDOW』カンヌでお披露目

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●日欧の放送局が共同で初めて世界市場を視野に

史上初のグローバル大型プロジェクトとして、フジテレビが欧州最大の公共放送局・ドイツZDF社の子会社・ZDFエンタープライズ社(以下、ZDFE)と共同出資製作する連続ドラマ『THE WINDOW』(全10話)の上映会が、フランス・カンヌで10月11日(現地時間)に開催された。

脚本を手掛けたイギリスの人気脚本家ジェームス・ペイン氏らが登壇。フジテレビコンテンツ事業部の秋元優里プロデューサーは日本から生中継で登場し、本作がいかに今までにない作品であるのか、その理由について時に会場の笑いを誘いながら、流暢な英語で熱く語った――。

■5年前に企画の種を生み出した地で披露

『THE WINDOW』は、日本とドイツの放送局がグローバル展開を視野に入れて手掛ける初の作品として、プロジェクト発表時から注目されてきた。共同出資製作したフジとZDFEという日独を代表する放送局の両社がさかのぼること5年前、カンヌの地で企画の種を生み出し、ゼロから企画開発を進めてきたこん身の一作でもある。

そんな縁のあるカンヌに再び戻り、2年ぶりに現地開催が復活した世界最大規模のエンターテインメントコンテンツマーケット・MIPCOMの会場で、第1話がお披露目された。想像以上に冒頭からスリリングでダークな雰囲気が漂う。

主人公は17歳の天才サッカー少年、ジョーダン・バーデット。世界最高峰のサッカーリーグのひとつ、イングランド・プレミアリーグのプロ契約主導権を巡る緊迫した10週間が描かれる。

なお、タイトルの『THE WINDOW』とは、ストーリーの舞台である移籍市場を指す。数千億円の資金が動くと言われるサッカービジネスのドロドロとした裏側と感情を揺さぶる人間ドラマであることが、1話だけで十分に伝わってきた。脚本はイギリスの人気ドラマシリーズ『セルフリッジ 英国百貨店』などを代表作に持つ英国アカデミー賞受賞脚本家のジェームス・ペイン氏が手掛けたドラマとあって、登場人物それぞれの人間性の描き方もこなれている。

■「実は私、サッカーに詳しいわけではなく…」

カンヌ上映会と併せて、米最大手エンタテインメント誌『Variety』のエルザ・ケスラシー国際特派員の司会でトークセッションも行われ、制作を担当した英国とドイツ両国に拠点を置くブギー・エンタテイメントのCEOでもあるロラント・ヘルゲルトプロデューサーは「イングランド・プレミアリーグの移籍市場を舞台にしたサッカービジネスの世界を描いていますが、実は本作は家族ドラマでもあるのです。主人公のジョーダンは、ブルーカラーの労働者の親に育てられた少年。こうした設定にも拘りました」と説明していた。

少年ジョーダンを労働者階級出身としたのは、その対比として巨額マネーを動かすのはサッカーリーグオーナーの上流階級であることの現実を強調して描きたかったかもしれない。完全なオリジナルストーリーとして本作の脚本を執筆したジェームス・ペイン氏は、それを裏付けるかのようにこのように話していた。

「『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(Netflix)や『サクセッション』(HBO)のようなドラマだと言ってもいいでしょう。つまり、追求したかったのは、なぜこうしたことが起こっているのかということです。表から見えるサッカーの世界ではなく、その裏にある世界を描いています。だからこそ、人間ドラマに焦点を当てたのです」

フジの秋元優里プロデューサーは、サッカードラマでありながら、サッカーの試合場面が一切描かれていないことを明かし、その理由を続けて説明した。

「サッカーファンやスポーツファンのためだけに作られたドラマではありません。実は私、サッカーに詳しいわけではなく…(一同笑う)。そんな私のような方でも楽しめるものだと自信を持って言えます。サッカービジネスの背景を描いたこれまでにないドラマであり、さまざまな国の多くの方に興味を持ってもらえる内容であることを保証します」

企画段階からグローバル展開を視野に入れたドラマであることは、フジとタッグを組んだZDFEドラマ担当のミレラ・ナスタセ取締役も強調していた。さらに、秋元プロデューサーは「日本と欧州の放送局が世界市場を見越して連続ドラマを共同出資製作するのは初めてのことです。言葉も文化も異なる国同士のタッグでしたが、順調に進めることができました。世界の視聴者に届けるドラマを手掛けようと、同じ目的を持つことができたから実現できたと思います」と付け加え、足掛け5年がかりで無事に完成したことに感慨深げな表情を見せていた。

●唯一の日本人キャストは「物語の鍵を握る」

ヨーロッパテイストの印象も強いドラマであるからゆえに、ひとつ気になるのは日本の視聴者にとって、楽しめるポイントがどこにあるのかということだ。アジア人キャストとして、日本のメディアとの仕事は本作が初となる日本人の女優・中優理々(なか・ゆりり)と、韓国人俳優のユ・テオの2人が出演しているが、第1話で中の役どころはまだ見えてこなかった。これについて上映会後、ペイン氏に突撃すると、快く答えてくれた。

「もちろん日本の方も楽しめるはずです」という第一声の後、「優理々は物語の鍵を握る役どころです。とても素晴らしい演技をしてくれました。ユーモアさを求める表現力も抜群に良かったです。2話目以降、彼女の出番は多くなりますから、続きを見ることができるまで、楽しみに待っていてください」と、まずは中を絶賛。中は、エージェント会社のアシスタント、ノリコ・アサリとして出演し、本作で唯一の日本人キャストとして活躍するということだ。

さらに、ペイン氏は日本の視聴者に向けて、「実際のプレミアム・リーグでは日本人をはじめこれまで様々な国からサッカー選手が集まっています。サッカー産業そのものがインターナショナルであるからゆえに、世界中の視聴者に関心を持ってもらえるドラマだと思っています」と胸を張った。

無事に今回のカンヌでの上映会を終え、『THE WINDOW』は今後、フジテレビとZDFEによって全世界に届けられる。2022年に放送・配信される予定だ。

長谷川朋子

はせがわともこ

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