上越市出身で、市内経済にも関心を寄せる。短期的には、新型コロナウイルスの影響への対応が経済対策の最重点項目だ。矢嶋氏は「コロナ対応の枢要は『共感力』。市民との対話を通じ、透明性をいかに高められるか」が新市長に求められるとする。
中期以降の対策の中心は、経済活性化と高齢化への対応。「広い上越市で、医療介護の維持可能性をどう高められるかが最大の課題。本来持っていた地域のコミュニティーをどう復活・強化できるか」と見る。
観光はコロナ禍で多大な影響が続く。「コロナ後はインバウンドの増加が期待できるが、数年かかる。関係人口の流れをどう維持するかが重要な視点」と指摘する。
新たな産業の誘致や起業支援は、全国の自治体が手厚い施策で誘致合戦を繰り広げる。「誘致する側の論理が優先されがちだが、誘致される側から見てなぜ新潟県上越市が良いのか、その魅力を提示できるかに尽きる」と発想の転換を求める。「コストが安い、など1次的な魅力でなく、テーマ性を上越で提供できるかが問われている。山、海があり、冬には雪もあり、再生エネについて従来と違った形でトライするなど、アイデア勝負だ」
新市長の任期中、人口はさらに減少し、財政の自由度はさらに低下することもあり得る。必要な資質は「住民との『共感力』が極めて重要。多重なコミュニティーを形成できる人間力、アイデアがどれほどあるかが問われる」とした。
〈両立候補予定者の公約〉
中川幹太氏
・直江津に鉄道博物館を建設し地区全体での通年観光を目指す
・直江津港エリアを天然ガス中心のエネルギー拠点化する
・地元木材の利用推進
・ふるさと納税の返礼品で地場産品需要を高める
野澤 朗氏
・プレミアム商品券などによる域内循環
・商店街活性化のため、空き店舗での起業支援
・後継者不在の企業と移住希望者をつなぐなどの事業承継支援
・商工会合併を見据え、各区で運営が継続できるよう準備する