〈2021上越市長選〉「3テーマわたしの視点㊥」経済対策 矢嶋康次さん(ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト、53) 市民との「共感力」を 活性化へアイデア勝負 

 上越市出身で、市内経済にも関心を寄せる。短期的には、新型コロナウイルスの影響への対応が経済対策の最重点項目だ。矢嶋氏は「コロナ対応の枢要は『共感力』。市民との対話を通じ、透明性をいかに高められるか」が新市長に求められるとする。

 中期以降の対策の中心は、経済活性化と高齢化への対応。「広い上越市で、医療介護の維持可能性をどう高められるかが最大の課題。本来持っていた地域のコミュニティーをどう復活・強化できるか」と見る。

 観光はコロナ禍で多大な影響が続く。「コロナ後はインバウンドの増加が期待できるが、数年かかる。関係人口の流れをどう維持するかが重要な視点」と指摘する。

 新たな産業の誘致や起業支援は、全国の自治体が手厚い施策で誘致合戦を繰り広げる。「誘致する側の論理が優先されがちだが、誘致される側から見てなぜ新潟県上越市が良いのか、その魅力を提示できるかに尽きる」と発想の転換を求める。「コストが安い、など1次的な魅力でなく、テーマ性を上越で提供できるかが問われている。山、海があり、冬には雪もあり、再生エネについて従来と違った形でトライするなど、アイデア勝負だ」

 新市長の任期中、人口はさらに減少し、財政の自由度はさらに低下することもあり得る。必要な資質は「住民との『共感力』が極めて重要。多重なコミュニティーを形成できる人間力、アイデアがどれほどあるかが問われる」とした。

〈両立候補予定者の公約〉

中川幹太氏

・直江津に鉄道博物館を建設し地区全体での通年観光を目指す

・直江津港エリアを天然ガス中心のエネルギー拠点化する

・地元木材の利用推進

・ふるさと納税の返礼品で地場産品需要を高める

野澤 朗氏

・プレミアム商品券などによる域内循環

・商店街活性化のため、空き店舗での起業支援

・後継者不在の企業と移住希望者をつなぐなどの事業承継支援

・商工会合併を見据え、各区で運営が継続できるよう準備する

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