石木ダム差し止め訴訟 二審も住民敗訴、上告へ 「平穏生活権」認めず

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控訴棄却の判決を受けて報道陣の取材に答える馬奈木原告弁護団長(左)と住民の岩下さん=福岡高裁前

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、水没予定地に暮らす反対住民らが、県と同市に工事差し止めを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(森冨義明裁判長)は21日、請求を退けた一審長崎地裁佐世保支部の判決を支持し、原告の請求を棄却した。住民側は上告する方針。
 昨年3月の一審判決は、住民が主張する「平穏生活権」は抽象的で不明確としていた。21日の控訴審判決もこれを踏襲。その上で、事業による権利や利益の侵害については、事業認定取り消し訴訟で訴えるべきと退けた。取り消し訴訟は昨年10月、最高裁で住民敗訴が確定している。一審に続き、利水、治水面のダムの必要性については判断を示さなかった。
 一方で1972年7月、当時の久保勘一知事が住民に対し、着工前に地元の同意を得ると約束した覚書に言及。「(住民は)知事を信頼し、覚書を取り交わしたが、いまだ地元関係者の理解を得るには至っていない」と指摘し、県と同市には「地元関係者の理解を得るよう努力することが求められる」と記した。
 住民側は、川棚川流域に8月中旬に降った大雨のデータを基に、県の治水計画の問題点を指摘した専門家の論考を、結審後の9月に高裁へ提出。弁論の再開を求めていたが、採用されなかった。
 原告住民で石木ダム建設絶対反対同盟の岩下和雄さん(74)は「弱い立場の住民ではなく行政の側に立った裁判」と批判し、上告する方針を示した。中村法道知事と佐世保市の朝長則男市長はそれぞれに「主張が認められたものと受け止めている」とするコメントを出した。