浅草・かっぱ橋道具街。創業100年「釜浅商店」の調理器具

「食」の専門店の建ち並ぶ 「かっぱ橋道具街」。数あるお店の中でも、洗練されたのれんが際立つ「釜浅商店」は、観光客や料理人がこぞって訪れる人気のお店です。

「良理道具」

良理道具(りょうりどうぐ)」「良い道具には、良い理(ことわり)がある
釜浅商店」は、この言葉を信念としています。創業113年、料理人や道具と向き合い、先人の想いを受継ぎながら「良理道具」をお客さまへお届けしています。

店内には様々な料理道具が揃い、シンプルで重厚感のある外観と、商品ひとつひとつに堅牢さが感じられます。

日本製「鋳物(スキレット)」の魅力

釜浅商店」は、料理人のニーズに合わせたさまざまな商品がありますが、その中でも魅力的なのが日本を代表する伝統工芸品のひとつ「南部鉄器」の鍋です。

フライパンとしてはもちろんのこと、オーブンウェアとして直接テーブルでステーキ皿にしたり、卓上ですきやき鍋として利用するなど、さまざまな用途でお使いいただけるので、鉄器を初めて使う方にもおすすめです。

新品の鉄器は、皮膜がないため焦げ付きやすい状態なので、ご使用前にはかならず「油馴らし」の作業を行うことが重要です。この手順を踏むことで、調理の際に鉄器に油が染み込み、具材が焦げ付くのを防いでくれます。

また、熱伝導率が良いためオムレツやハンバーグ、焼き物などにも使用でき、保温性にも優れています。

スペイン風オムレツを作ってみましたが、そのままオーブンに入れることができるので、ひっくり返す怖さがないだけでなく、焦げ付きや焼き足りなさがなく、とても均一に加熱されます。

お手入れは、食器用洗剤は使わずに、鉄器本体をたわしで軽くこすりお湯ですすぎます。洗い終えたら、空焚きをしてしっかり水分を飛ばすことが鉄器の長持ちの秘訣です。

山田工業所 釜浅鉄打ち出しフライパン

釜浅鉄打ち出しフライパン」は切り抜いた鉄板を機械ハンマーで数千回叩くことで鍋の形にする打ち出し製法で製作されています。持ち手が長いので、揚げ物をするときに油が飛び散る心配もありません。鍋肌には打出し製法特有の細かい凸凹があり、使えば使うほど油がなじんでいきます。

また、「山田工業所」の打出し製法でつくられた「打出し北京鍋(片手中華鍋)」は、丈夫で業務用の火力でも十分に耐えることができ、永く使用できます。

「無名品」釜浅商店の庖丁

包丁の製造過程には多くの職人が丹念に仕事をしています。庖丁を大切にしていただきたいという思いと、庖丁づくりに携わる多くの職人や産地に敬意を払い、「釜浅商店」は仕上がったままの状態、つまり「無名品」として豊富なラインナップを取り揃えています。

初心者向けのオススメ庖丁

釜浅商店」には、立派で実用的な和庖丁がたくさんありますが、料理初心者の方には洋庖丁の方が適しています。

写真左端と中央の庖丁は右手に慣れている人に最適です。右端の庖丁はどちらの手でも使えます。模様が入ったダマスカス包丁については、ダマスカス模様が多ければ多いほど、切れ味も良くなります。

店内のテーブル自体がまな板になっているので、庖丁それぞれの重さや握り具合を自身で感じられるので、自分にとって理想的な包丁を選ぶことができます。

便利で美しいおみやげ

その他にも、ここ「釜浅商店」でしか手に入らない素敵なアイテムがたくさんあります。

棕櫚(しゅろ)のやさしいたわし

釜浅商店」で売られている「たわし」は高田耕造商店で製造されています。中でも、「しゅろのやさしいたわし むすび」は2つのたわしを結ぶように組み合わせることで金具を無くし、傷つきを気にせず洗うことができます。

一般的なパーム素材に比べ、柔らかくコシがあるので、素材を傷付けず汚れをしっかり落とすことができます。また、棕櫚(しゅろ)は腐らず熱に強いため熱湯消毒や食洗器でも使用できるので衛生的にも保ちやすいです。

南部寄せ鍋

ミニマムな南部寄せ鍋は、チーズディップやガーリックソテーを入れてもかわいいです。

鉄茄子

南部鉄器は重くてお手入れが大変という方に、手軽に使えるナス型の鉄器もオススメです。南部鉄器からでる鉄イオンの働きを利用して幅広い用途で活用できるアイテムです。

おわりに

100年以上もの間、「良理道具」へのこだわりで多くの人々の生活を支えてきた「釜浅商店」は、そのこだわりを海外にも広めるべく2018年、多くの有名シェフを輩出し美食家が集う「食」の街、フランス・パリに海外初路面店をしました。

取材協力:釜浅商店

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