韓国紙「現代自動車のEVリコールが遅々として進まず」「LGが巨額賠償で電池供給できず二重苦」

国内外での相次ぐ火災事故でリコールに追い込まれた現代自動車の電気自動車「コナEV」だが、リコール発表から8カ月が経つ今も、リコール修理を受けられずにいる車両が多く苦情の声が広がっている。理由は相次ぐリコールで苦境に立つLG化学にある。

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21日、聯合ニュースTVは詳細を報じ、現代自動車のコナEVのリコール修理数が対象車両の半分に満たない現状について取り上げた。

報道によると、3月末からリコールが開始されたコナEVだが、先月までの6か月間でリコール修理を受けることができた車両は、対象車両2万5000台のうち1万1968台に(47.71%)に留まっている。

2018年に販売され欧州などでも販売好調のコナEVだったが、国内外で十数件の火災事故が発生したことを受け、バッテリー全量交換を含む3度のリコール措置がとられた。リコールにかかる費用は1兆4000億ウォン(約1549億円)とされ、現代自動車が40%(約620億円)、バッテリー供給社のLG化学が60%(約929億円)を負担する。

聯合ニュースTVの当該報道

コナEVのリコールが進まない主な理由について聯合ニュースTVは、「バッテリーの供給が遅れている」と伝えた。

EVバッテリー自体が世界的に需要超過であることと、バッテリーを供給するLG化学(LGES)が、やはり同社のバッテリーが搭載されたGM(ゼネラルモーターズ)の電気自動車「ボルトEV」でも相次ぐ火災事故の原因となり、同車種のリコールでもバッテリーを供給しなければならず、現代自動車への供給分を圧迫することが背景にある。LG化学はGMに最大19億ドル(約2千億円)の賠償を行う。現代自動車の分と合わせると約3500億円の賠償ふたんとなる。

同じくLG化学のバッテリーが搭載されたVW(フォルクスワーゲン)の「ID.3」でも火災が発生しており、現在原因が調査中だが、結果によってはさらにバッテリーの供給が逼迫する可能性がある。現代自動車も大変だが、LG化学はもっと大変な状況だ。

聯合ニュースTVは、消費者の間でリコール遅延の不満や、電気自動車そのものへの不安感が高まっているとし、より効果的な対策を取るべきであるとの専門家意見を伝えた。

現在はメーカー側への罰則が設けられているが、時間的・精神的被害を受ける消費者中心のインセンティブ設計の導入などを訴えた。

一方でソウルファイナンスは、LG化学は損害賠償とリコール用バッテリー供給という「二重苦に陥っている」と伝えた。

同紙は、LG化学が「バッテリーの生産ラインを急遽増設したり、工場をすぐに作ったりすることができないためバッテリーの供給不足現象が発生している」とし、「バッテリーのリコールまでしなければならないLGES(LG化学)の立場では、サードパーティに比べて供給がより難しい状況」であると分析した。

LGES(LGエナジーソリューション)は昨年末にLG化学のバッテリー部門が分社化され設立された会社だ。LGESは今年上場を予定し、最大10兆円の企業価値が予想されていたが、相次ぐリコールを受け延期される運びだ。同社は中国CATLと世界バッテリー市場で1位を争っているが、一連の問題により、シェアを下げる可能性も指摘されている。

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