【横浜・旧大口病院点滴殺人】元看護師に死刑求刑 検察側「生命を軽視」

事件のあった旧大口病院。横浜はじめ病院と改称したが、現在は休診している=横浜市神奈川区

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現横浜はじめ病院)で2016年、入院患者の男女3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたとして、殺人罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が22日、横浜地裁(家令和典裁判長)であり、検察側は死刑を求刑した。判決は11月9日。

 検察側は論告で「自己中心的かつ身勝手な犯行で、計画性も認められる。生命軽視の姿勢が表れている」と非難。過去の判例に照らし「死刑を回避すべき事情はない」とした。

 起訴状などによると、被告は16年9月15~19日ごろ、入院患者の女性=当時(78)、男性=同(88)、男性=同(88)=の点滴に消毒液を混入して、同16~20日に殺害した、とされる。同18~19日ごろに、殺害目的で投与予定の点滴袋5個に消毒液を入れた殺人予備罪にも問われている。

 被告は起訴内容を認め、争点は責任能力の程度と量刑だった。検察側は起訴前の精神鑑定の結果から完全責任能力が認められると主張。一方で、弁護側は起訴後の精神鑑定を基に心神耗弱状態だったと訴えた。

 被告はこれまでの公判で「被害者に申し訳ないことをした。重大なことをした」などと証言していた。

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