【幕末維新 山口れきし散歩】 No.21 「萬徳院跡」

▲ひとり秋遍路(山口市秋穂二島)

 鶴林山萬徳院は、1870(明治3)年、泉蔵坊・戒定院(後に独立)と合併し、栄泰寺となった。跡地には秋穂八十八ヶ所霊場第75番札所が置かれ、山号と寺号が残る。

 この地に根を張るアラカシの巨樹は、樹齢300年以上といわれ県指定天然記念物となっている。また、この木の周囲を息を止めて3回まわれば願いが叶えられるという。

 1863(文久3)年9月、ここに、高杉晋作の率いる奇兵隊が下関から移転し本陣を置いたが、程なくして三田尻へ移転。その後は、堀真五郎率いる八幡隊(やはたたい)が駐屯した。

 当時、隊士たちも息を止め、心の中で願いごとを唱えながら、あの木の周りをまわったのだろうか。

  防長史談会山口支部長 松前 了嗣

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