【大胆予想】北海道新幹線開業後 室蘭本線はどうなる?

北海道新幹線の開業後について、並行在来線である函館本線は廃止やら三セク化やら議論が活発化していますが、新幹線に並行するもう一つの路線、室蘭本線はなぜかあまり話題に上がりません。並行在来線には指定されていないとはいえ、決して無関係とは言えないこの室蘭線が、札幌延伸でどのような影響を受け、どのように変わっていくのか、個人的に予想してみました。なおこの記事では沼ノ端ー岩見沢間と東室蘭ー室蘭間については全く触れません。

キハ141## 北海道新幹線のもう一つの並行在来線

室蘭本線は、函館本線長万部駅から分岐して噴火湾をぐるっと回りこみながら東室蘭・苫小牧を経由し、沼ノ端で千歳線と分かれて札幌を経由せず岩見沢に至る路線です。東室蘭では室蘭に向かう支線が分岐しています。

函館方面からやってくる特急北斗、そして札幌から室蘭・東室蘭までの電化区間を走る特急すずらん、そして本州方面と北海道を結ぶ貨物列車が行き交う大動脈となっています。

山線と海線の内、海線にあたる室蘭本線

長万部から札幌へ向かうルートは倶知安・ニセコを経由する函館本線、そして噴火湾側を走る室蘭本線の二つ存在し、前者が山線、後者が海線と呼称されています。海線には千歳線も含まれることがあります。

長万部から札幌への最短ルートは地図上だけで見れば山線になるのですが、険しい山岳区間を通るためあまり速度が出せません。たいして海線はほぼ噴火湾に沿っているので遠回りですが、比較的緩やかで線形も良く、沿線人口も多いことから段々とメインルートの座は海線経由に移りました。

ノースレインボーエクスプレス## 函館(長万部以南)無くして室蘭無し、ほぼ一蓮托生の輸送体系

この室蘭本線と共に札幌ー函館、ひいては本州方面への動脈の一部となっている函館本線長万部ー函館間が山線区間と共に並行在来線に指定されたことにより、その区間をJRから切り離す事になりました。しかしこの区間、特急以外のまともな旅客輸送がない区間が多いので、切り離された後は旅客営業廃止も視野に入っているそうです。そして例え旅客営業を廃止して貨物専用線として残すとしても年間20億円の赤字はくだらないと試算されており、廃止も決してあり得なくはない厳しい状況となっています。

個人的にはおそらく長万部ー函館間は何らかの措置を講じてどうにか鉄路として残るとは思いますが、仮にもし新幹線リレー列車が走っている函館ー新函館北斗から先の区間が廃止となれば、流石にすぐに共倒れ、という事にはなりませんが室蘭本線は大動脈としての使命を失い、旅客輸送専門の盲腸線となり、ゆるやかな衰退の道をたどるでしょう。

DF200## 札幌延伸後の室蘭線特急

新幹線開業で道南への輸送体系が大きく変わる中、室蘭本線の特急網も大きく変わります。中には特急が全て消えてしまい、ダイヤ上大きな空白が発生する区間も・・・

特急空白区間が増える

室蘭本線を走る特急は函館に向かう特急北斗と電化区間のみ走る特急すずらんがありますが、このうち北斗は新幹線札幌延伸で消滅することは容易に想像できます。その際、北斗のみが通過していた長万部ー洞爺・伊達紋別ー東室蘭間から特急が消えることになるでしょう。北斗を長万部止まりのリレー列車にするとか、何なら長万部まで電化してすずらん延伸という考えもありますが、洞爺と伊達紋別、利用者がそれぞれ1000人いるかいないかの駅の為にわざわざ残すとは思えず、何よりそれでは新幹線作った意味があまりないので可能性は低いと思います。

789系## 主役となる「すずらん」の大きな変化は確実

北斗亡きあとは当然室蘭本線の主役は特急すずらん、という事になります。走行する区間は全区間複線なので、北斗が消えた後はその空白をうまく埋め合わせるような増便や時刻変更などのかなり大がかりな改正を行うと考えます。個人的には、何本か増便したうえで、苫小牧から東室蘭までの区間において、日中の普通列車が走っていない時間帯にすずらんを移動させ、特急と普通合わせて毎時一本ヘッド、というのもありと考えています。列車によっては停車駅を北斗並みに絞った便も設定されるかもしれません。閑話休題。

普通列車はどうなる?

特急列車は増便やら時刻変更やら大幅なテコ入れがなされそうですが、普通列車はどうでしょうか。

非電化・電化区間共に大きな変更はなしと予想

室蘭本線の区間の内、札幌延伸の影響を最も強く受ける区間は長万部ー東室蘭の非電化区間です。上記でも述べた通り、すずらんもある電化区間と違って現状この区間は北斗しか通過しません。その北斗が新幹線延伸で消滅すれば、この区間は沼ノ端から岩見沢までの区間と同じく特急空白区間と化します。

H100

廃止もやむなしと言われている山線とは違い、この区間は長万部、東室蘭の他に洞爺や伊達紋別などそこそこ人口の多い区間を通るので特急北斗消滅後には普通列車をある程度増便して本数を確保するか・・・と思うのが普通ですが、上記の通りこの区間で最も利用者が多い洞爺・伊達紋別でさえ利用者が1000人足らずで、かつ洞爺・伊達紋別ー東室蘭の間だけ見ればバス路線も走っているので輸送量には十分余裕があり、無理に増やすことはないと思われます。なお洞爺から長万部までの区間は、秘境駅で有名な小幌駅を含む、並行バスすらない海線屈指の閑散区間ですのでこの区間の本数は減ることはあっても増えることは無いでしょう。

なお電化区間についてですが、やはりダイヤ上では大きな変更点はないものと思われます。ですが、JRは2019年末にこの区間の普通列車を2両編成、ワンマン運転対応の733系を新製して置き換えると発表しています。コロナ禍の影響もあってある程度遅れは生じるとは思いますが、少なくとも新幹線延伸の時期までにはこの区間の列車が新型に置き換わる事になりそうです。(了)

【著者】ミシンロボ

日本全国の鉄道を「日帰り」で旅するライター。 日本全国の鉄道路線を完乗済みです。色々な鉄道の情報を独自の視点から発信します。

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